今回のメインは、「新城と網代にお菓子を教えること」である。
全員多かれ少なかれそうなのだが、特に意中の相手がいる新城。それから克己心でやる気に満ち満ちている網代。
この2人が満足する事が前提なので、作るお菓子のお題目もそちらにまかせる。
と。
言ってたのだが。
「言って良い?」
「・・・はい・・・・」
「やっぱさ、初心者にシュークリームってハードルが高いんじゃ「ほらもーー!ほらーー!だから言ったじゃん!いきなりシュークリームとかバカかよってー!」
「だってー!だってー!」
「や、やっぱり難しいかなあっ!?」
「そうねえ、私もちょっと、無理があるんじゃないかと思ってはいたのよねー。」
「えー、シュークリーム良いじゃーん!美味しそうじゃーん!」
新城が選んだのは、シュークリームであった。
千百合と金町は、無理があるんじゃね派。
可憐と紀伊梨と網代は、取り敢えずやってみても良いのでは派ではあるが。
「し、師匠駄目でしょうか・・・」
「・・・新城さんは、どうしてシュークリームが良いんですか?」
「え?」
「駄目とか良いとかそういうことは置いておいて、選んだ理由が知りたいんです。なんとなくなら、なんとなくで良いですから。」
「え・・・えっとお・・・」
新城はちょっと俯いた。
「・・・クッキーとか、プリンとかはこう・・・簡単そうで、アピールにならないかなあ、なんて・・・」
「またそんな理由であんた・・・」
「うるさい、あかりは黙ってて!で、えーとそのお・・・マフィンとか、マドレーヌとかはこう・・・お菓子って言うより、パンかなあと思って・・・こう、空腹を満たすのにばくばく!っと食べられちゃうような気もして・・・」
「なるほど、そうだったんですね。ありがとうございます、教えて頂いて。」
「あ、いや・・・あ、あの、師匠・・・」
「はい?」
「・・・やっぱり、シュークリームってその、」
「できますよ、大丈夫です。頑張りましょう。」
ぱあっと明るい笑顔になる新城の後ろで、金町は割とあからさまに、えええ・・・な顔をしている。
「本当にできるんですか・・・マジで?」
「大丈夫です。」
「で、でも紫希ちゃん、こっち皆初心者で、」
「初心者でもベテランでも、同じことができれば美味しいお菓子ができあがります。ちょっと違いは出るかもしれませんが、大失敗なんてことにはなりません。お菓子って、そういうものです。それに・・・」
「それに?」
「本人が作りたい、って思うものが一番上手くできますよ。作りたくないクッキーより、作りたいシュークリームの方が美味しく仕上がります。怖がらないで、頑張りましょう。」
紫希はもしも理由として、他の誰かに勧められたからとかそういう事を言われたら、変更を進めるつもりで居た。
でも、新城なりの考えがあることがわかったから、それならそれに従うべきである。紫希的には。
「よしゃー!紀伊梨ちゃんはお手伝いさんするから、ヘルプな人は呼んでねー!」
「あら、紀伊梨ちゃんは作らないの?」
「うん!紀伊梨ちゃんは!食べる方に興味津々です!」
「つまみぐいすんなよ。」
「しないよ!」
(・・・・私でも、出来るのかなあ・・・)
可憐は今回、普通に自分でも作る側に立っている。
最早誰宛とか考え出すと深みにはまるからしないけど、でも見てるだけよりは参加したいし、と思っていた。
でも、シュークリームなんて自分に作れそうな気が全然しない。
紫希はさっきから大丈夫、と言ってくれているけれど、いまいち信じられない。紫希がというより自分が。
「じゃあ改めまして、始めましょう。」
おお!という皆の声に、可憐はちょっと出遅れた。