「なるほどねえw」
「何が、なるほどなんだ?」
「いやあ、入場料も取られないでただ蝋燭置いて行ってるだけで、綺麗だけどどうやって採算取るつもりなんだろって思ってたのよw」
「ああ、そういう話か・・・」
紀伊梨が流そうよ流そうよと騒ぐので、まあせっかく来たんだしということで、今一同は皆で並んでキャンドルを選んでいる。
1個200円を安いと取るか高いと取るかはまあ、人によりけりである。
「さいさんを?取る・・・」
「どのようにして儲けるのか、という話です。」
「イベントもただじゃないからの。」
「ふうん?」
あんまりよくわかってなさそう、と思う仁王と柳生の読みは当たりである。
「皆どれするー?紀伊梨ちゃんはね、やっぱりお星さまが良いかなー!黄色が良いな、黄色黄色・・・」
「色と形で、ずいぶん沢山の種類になりますね。」
「・・・・・」
「ニオニオ?どったの?」
「ああ、いや。選んどっただけじゃ。」
嘘である。
本当は柳生の台詞を受けて、やっぱりよく捌(は)けてるやつとそうでないやつがあんのかな、とか思っていたのだ。
そしたらやたらめったらピンクのハートが売れているのを見て、ああ・・・と心中で呟いた。まあ、ありがちなパターンではある。デートにもってこいの雰囲気だし。
ただまあ、今ちょっとそのコンセプトは紀伊梨には地雷なので。
(大したことはないのでは、と思っていましたが。)
(こういう時に、ぽろっとでも恋愛の話題に触れんっちゅうのは、案外難しいぜよ。)
例え自分は恋愛していなくても、恋愛の話題というのは割合その辺にぽろぽろ転がっているものなのだ。
別に全部が全部、そんなに神経使って避けなくても良い・・・とは思うものの、皆フェスの時にあの大崩れしていた紀伊梨を見ているので、要らない場面で不用意にその話題持ち出さなくても良いよね、が暗黙の了解になっている。
「しかし、黄色の星型とは。五十嵐さんらしいですね。」
「まあ、いかにも選びそうじゃな。」
「え、そーお?そっかなー?やーぎゅはあれだよねー!紫って感じ!」
「お前さん、髪の色以外見とらんじゃろ。」
柳生は苦笑した。
安直な。と言ったところで、あんちょくって何?と返されるのが落ちであろう。まあ良いけどさ。紫嫌いじゃないし。
「では、せっかくご意見を頂きましたので、紫に致しましょうか。」
「本気なんか。」
「むー!ちょっとそれどーいう意味ですかー!」
「自分の為に、人がイメージを膨らませてくれるというのは、悪い気はしませんよ。何もない状態でただ選べと言われるより、考えやすいのも事実ですし。」
そう言うと、柳生は本当に四角い紫のキャンドルを取り上げた。一番好きな色は本当はグリーンなのだが、それこそ「せっかくなんだし」というやつ。
まあ確かに。そう言われればそれはそうなのかもしれないけど。
「・・・・・」
「何じゃ。」
「ニオニオはねー、「青か白じゃろ。」え、なんでわかるの!?」
「髪の色とか目の色から離れんしゃい。」
普段の仁王だったら、誰かに何か勧められてそれを選ぶというのは歓迎すべきことなのだ。自分の個人的な好みを晒さないで済むから。
ただ、紀伊梨が人に何かを勧める時というのは、大抵理由が子供っぽくて安直なので気が引けるのだ。
「柳生、代わりに選んでくれんか。」
「断ります、ご自分で考えてください。」
「ねーねー、青か白はー?」
「どうも気が進まん。」
「なんでよー!っていうか、ニオニオ何か紀伊梨ちゃんに向かって、その『気が進まん』っていうの多くない!?」
だって本当だもん。
思いながら仁王は一つ溜息をついて、ブルーのうずまき模様キャンドルを手に取った。
これは紀伊梨の勧めに従ったようでいて、本当は自分の好きな色選んでいる。というのは、秘密。