「・・・・ふう。」
今は部活が終了した後。片づけの時間に、深く息を吐いて、可憐は深呼吸をした。
よし。
「あ・・・跡部君っ!」
可憐は結局、忍足にあげる勇気が出ず仕舞いだった。そして、跡部にくれてやろうという結論が出たのだった。
「アーン?なんだ、やっと来たのか。」
「やっとっ!?」
「当たり前だろ、あんなにじろじろ見られて気づかねえ方がおかしいんだ。で?用件は何だ?」
「あ・・・・あのっ!実はそのう・・・ひ、人にプレゼントを、用意したんだけどっ。」
「は?」
「で、でも!でも、受け取って貰えそうになくて・・・自分だと処理しきれなくて・・・跡部君のお家、人が多いから、悪いんだけど引き取ってくれないかなあ、なんて・・・」
可憐は考えた挙句、もう全部言ってしまうことにした。失礼な奴、と思われるかもしれないが、困っているのは事実だ。なんだかんだ言いながら、手を貸してはくれる。と、思う。多分。
「・・・・・・・」
「・・・・だ、駄目かなっ?」
「・・・・はあ。」
跡部はスマホをポケットから取り出すと、何かをぽちぽちと打った。
そして仕舞った。
「今LINEで住所を送っておいた。」
「へっ?」
「そこへ行け。そして着いたら、今俺様に言った事を、そのままもう一度言うんだな。」
「え、あ・・・・えええっ!?わ、わかった・・・けど・・・」
家へ持って行けと。マジか。
なんで今受け取ってくれないんだ、と思ったが、スコアを真剣に見る跡部の背中が「話はもう終わり」と物語っていて、可憐はそれ以上何も言えなかった。
「・・・・・・」
可憐が去ってしばらくしてから、跡部はちょっと思案し始めた。
言い出してきた用事の、あまりのくだらなさに、思わず「俺に言うなあっちへ行け」的なことを言ってしまったが。
「・・・・辿り着かねえ可能性もあるな。」
「何がどこに。」
「・・・・・・・」
「何やねんな、その顔。」
通りすがりの忍足に独り言を拾われて、跡部は思わず眉をしかめてしまう。
ああもう本当に。どいつもこいつも、どうして自分にお鉢を回してくるんだ。
そっちでやってろ、こっちへ来るなよ。
と、思う気持ちはあれど。
跡部はこれでも、ちゃんと友達と思っているので、流石にそこまでは言わないが。
「・・・お前も行ってきたらどうだ。」
「どこへ。」
「自分のスマホカバーのポケットに、いつも入れてる所へだ。運が悪ければ桐生と鉢合わせるだろうよ。」
「は?」
はあっ!と大きな溜息を吐いて歩いて行ってしまう跡部をぽかんと見やりつつ、忍足はスマホを出した。
(スマホカバーのポケットに、入れてる所・・・・)
そこには、名刺が一枚。