「あ・・・後5分でーす!」
(うう、やりにくい・・・!)
別に、何も言わないし何もしてない。けど、隣に妹が居てじっと部活を見ているという、それだけで可憐はやりにくくてやりにくくて仕方がない。
しかも、美梨を気にしているのは自分だけじゃない。さっきから、部員マネジ問わず、視線が妹の方に寄越されまくっているのを感じる。
自分だったら、こんなに見られたら絶対居た堪れないと思うほどの視線を受け止めても、妹は平然としている。それがまた余計気になるというか、妹ながら何を考えているのか。
「3・・・2・・・1・・・終了ー--!記録を確認して、書きにきてくださーい!・・・美梨っ?」
「何?」
「あの・・・さっきからじっと見てるけど、何か言いたいことあるのっ?」
「別に、大したことじゃないから気にしなくて良いよ?おねーちゃん、そんな大きい声出せるんだなーって思っただけだし。」
「そ、そうっ・・・?」
ああやりにくい・・・なんて思っていると、いかにもおかしそうに笑いながら、滝がボードに記入をしにきた。
「おつかれさま、桐生さん。やりにくそうだね、大丈夫?」
「ああ滝君・・・うん、大丈夫・・・」
「やりにくい?お姉ちゃん、やりにくいの?なんで?」
「そういう君は、じっと自分の仕事を見られてやりにくいと思わないタイプかな?」
「うん、全然?むしろ、美梨のかっこいいところもっと見て!って思うよ?」
「・・・ふうん、やるねー。お姉ちゃんとは全然違うタイプだね。」
暑いから気を付けてね、なんて言って、滝は爽やかに手を振って去っていった。
美梨はその背中をじいっ・・・と見つめる。
「美梨っ?滝君が気になるのっ?」
「ううん。あの人が気になるっていうか、ああいう人が氷帝には多いのかなー、って思ったの。」
「ああいう人っ?」
「何か、大人な感じっていうか。」
「ああ、ううん・・・私立だしねっ。育ちの良い人は多いかなっ。」
「ぷっ!」
「え?」
「そーいう意味じゃないかなー。」
「えっ!?じゃあどういう・・・って、ああっ!お喋りしてる場合じゃない、記録とドリンク!」