My treasure 6 - 4/5


「・・・・む。こう・・・いや、違うな・・・」
「やなぎー君は何をしてんのw」
「いや、後学のために撮影しておこうと思ったんだが。上手くできないんだ。」
「撮ろうと思っても上手くいかないんじゃねw」
「だよな。こんなに綺麗だもんな・・・」

写真に撮ったところで、この美しさまでは撮影しておけない。
柳も、棗と桑原2人からそう言われて、諦めて笑った。

(でも、柳君の気持ちも分かります・・・こんなに綺麗なんだもの・・・)

綺麗なものを手元に留めておきたいのは人の性だと思う。
でも、留めておけないからなお綺麗なのだというのも分かる。

ちょっと哲学的な気分になりつつ、紫希は周りが続々とそうしているように横になった。

なんて美しい光景だろう。朝焼けに白い花びらが舞っていて、それ以外何も見えないなんて、贅沢の極みのような光景。

(白・・・・)

ふと気になって、隣に視線を向けた。
丸井はとっくのとうに寝転んでいて、紫希の視線に気づくと紫希の方を向いた。

「ん?何?」
「いいえ。ただ・・・綺麗だなと思ってたんです。」
「景色が?」
「丸井君がです。」
「え、俺?」
「はい。丸井君、髪が綺麗な赤ですから。」

だから白い花はきっと綺麗でよく映えると思ったのだ。
そして実際見てみたら本当に綺麗だった。

友達と言えど失礼だから、普段あんまり人の顔なんてじっと見るものではないけれど、丸井はかっこいい顔をしていると紫希は思っている。鮮やかな赤毛に白い花びらが絡まっていて、幸村とは違った意味で絵になる。

以前幸村が、男の身で綺麗だと言われてもさほど嬉しくはないと言っていたから、あんまり綺麗だ綺麗だと口に出して褒めそやこそしないけれど。

「丸井君って、アイドルみたいですよね。」
「・・・うん、ん・・・・うん・・・」
「え?な、何かだめでしたか?」
「ダメっていうか・・・・」
「?」

丸井からしたら、よくもまあ恥ずかしげもなくそんなことがいつもの顔で言えるなと思う。
こういうところ、紫希は幸村にちょっと似ている。なぜ眉一つ動かさずそんなことが言えるのか。

(自分はちょっと褒められただけで、真っ赤になって止めろって言ってくるくせに・・・あ!)

そうだ。
そうだった、紫希は自分が言われるのは苦手なのだった。

じゃあ、やり返すのは簡単じゃないか。

「・・・・・」
「・・・・ど、どうしたんですか?」
「別にー?」

唐突に可愛いって言っても良いけど、芸がないから。
何かこう、どのように可愛いとかそういう言い方を探して、丸井は体を横向きにして、紫希をまじまじと見てみた。

「・・・・・・」
「・・・あの、」
「・・・・・・」
「・・・・う、」
「ふはっ!くくく・・・」

とうとう紫希が耐えかねて、顔を向こう側に向けた。

ほらもう。何も言ってすら居ないのに、たったこれっぽちのことでもう恥ずかしがっている。

こういうところが可愛いと思う。すごく。すごく。

「なあ、こっち見ろい。ほら?」
「え、遠慮します・・・」
「しなくて良いって。」
「結構です・・・」
「ふうん?」

何か企んでる声音だ。
見えてないけど、丸井の顔は今絶対に笑ってる。そのくらいはわかる。友達だもん。

それはわかってるのだ。
・・・わかってるんだけど。

「なあ。」
「・・・・・」
「寂しいだろい、こっち向いて。」

(う・・・・)

九割九分九厘嘘だ。
とわかっているんだけど、本当に、もし本当に本当だったらどうしよう。
紫希はそういうことを気にしてしまう性格だった。

「はーやーく。」
「・・・・・」
「あははっ!」

そろお・・・と振り向くと、丸井はまた声を出して笑った。

すぐ本気にする。
そのあと後悔するって分かっていても、ついついこっちの言うことを真に受けちゃって。危ない目に遭わせないようにと思って吐いた嘘は、簡単に見破ってくるのに。

そういうところが、すごく。
すごく。

「可愛いよな、春日って。」
「~~~~!もう、なんなのかわからないですけれど、お願いですから止めてください!」

やだって言おうかな。良いよって言おうかな。
返事ひとつするのにも楽しくて、丸井は花に負けないくらい、笑顔を零し続ける。