New comers 1 - 1/5


新人戦というものがある。
新人戦は、来年の夏に備えて、レギュラー候補の人員を出す試合である。
要は内定のようなものだが、別に新人戦に出したから絶対レギュラーにしないといけないとか、出られなかったから絶対レギュラー不可とか、そういう縛りはない。
SとDがあるが、これも新人戦で出た方と、夏の大会で出る方が揃っていなくても良い。
くくりとしては地方ごと。つまり立海の場合、関東地方にある学校が相手になる。

一条郁が現在、新人戦について知っているのはこんなもんである。

「はあ・・・・」

一条はぐったりと溜息を吐いた。

「郁、お疲れ~!」
「疲れた・・・」
「あはは・・・ま、まあ、大会の前って言うのはこんなもんで・・・」
「・・・・・・」
「・・・ごめん、慣れてとしか・・・」

郁は再度はあ、と溜息を吐いた。

丸井が新人戦に出る。

その事実もあって入部を決めた身としては、もう少しどきどきに浸っていたかったのだが、実際マネージャーをやってみてそういう話ではないことに郁は早々に気づいた。

まず、丸井の試合に対して最初はすごくどきどきしていたが、直に慣れた。内部に入ったら、公式戦じゃなくても、普通に試合形式の練習でテニスしている丸井は山ほど見られたからである。

次に、想定をはるかに上回る忙しさがあった。もちろん丸井を見かけたらどきっとしたりするが、それ以前に面倒なことが多い。
常に目の前の事に追われるし、当たり前だが丸井だけに関わっていれば良いわけじゃないし。

林と分かれて、またはああ・・・と、疲労を逃がすような溜息を吐いていると、肩を後ろからぽんと叩かれた。

「よ!お疲れ。」
「・・・・・・」
「おい、大丈夫かよ?」
「・・・生きては居るよ。辛うじて。」
「そ。」

郁がいつもこういう物言いをするので、丸井はすっかり「大げさな奴」と思うようになった。別に間違ってるわけではないが。

「・・・君は元気そうだな。明日から大会だっていうのに。」
「ん?まあな。ほら、俺って天才だし?」
「・・・ああ、そう・・・」

大舞台を前にして、自分は天才だから大丈夫って。
そんなことを言い切るようなところも、郁は好きだった。