「・・・・・・」
桑原は自宅で、スマホを見て悩んでいた。
どうしよう。
どうする。
(どうするか誰かに相談・・・いや、駄目だ!相談も何も、俺がテニスプレイヤーとしてのブン太を一番分かってるんだから・・・)
「・・・よ、よし。」
桑原は送信ボタンを押す。
「?」
紫希は机の上のスマホが鳴って、起動した。
桑原からLINEが来ている。
『明日の新人戦なんだけど』
『良かったら、ブン太に何か言ってやってくれないか?』
(何か・・・)
紫希は返事を打った。
『言っても良いんでしょうか?』
『何か言うとプレッシャーにならないかなと思ってしまって』
『精神集中の邪魔というか・・・』
ビードロズ達は幸村に対しても、大事な試合の前だからという理由で、LINEを送ったりとかそういうことは基本やらない。
まあ、幸村の場合はわざわざこんな風に頼まれることもなかったからだけど。
「・・・・・・」
紫希は桑原の既読が付く前に、ちょっと考えた。そして付け足した。
『私はテニスの世界のことが未だに良く分からないというか・・・見ていることしかできないので』
『何を言っても軽いというか、偉そうになってしまう気もするんです』
打ち終わった端から、既読が付いた。
そして返事。
『そんなこと言ったら、俺達だってバンドのことなんか知りもしないのに、いつも思ったように声をかけてるぞ笑』
(確かに・・・)
それはそうかもしれないけど。
『何でも良いんだ』
『春日が、自分だったら嬉しいと思うことを言ってやってくれよ』
「私なら・・・」
自分なら。
自分なら何が嬉しいか。
「・・・・・・・」
紫希は桑原に分かりました、僭越ながら、と返事をして、丸井とのトーク画面を開いた。
「あ、し、た、は・・・」
『明日は、絶対一番前に行って、皆と見ています』
『頑張って下さい』
あと、返事しないで休んでねおやすみ。と打って、紫希はスマホを消した。
一番前で見ている。
というのは、見ようによったらそれこそプレッシャーなんだけど。
でも、それでも一番前に居て欲しい人達が居る。
自分もそのうちの一人なら良いな、と思って紫希は早々に布団に入って、目を閉じた。