そのまま帰宅して、シャワー浴びてご飯食べて弟と遊んでたら、20時になるのなんてあっという間である。
そこから21時までランニング。
大体いつも21時「くらい」が目安であって、そんなきっちり時間はかっているわけでもないのだが、今日は違う。
21時から3分間。家に入るのを待てと言われた。
帰るなって事かと後で聞いたら、家には居て良いらしい。
玄関扉の前に居れば良いよと言われた。
その3分は一体何の3分なんだと聞いたら、幸村はおかしそうに笑って、まあまあ頼むよと言うばかりだった。
まあ、別にそのくらい良いから、丸井はこうして21時5分前に帰宅したわけだが。
「はーあ!ふう・・・」
9月に入っても暑い。
超暑い。
家の前に置いておいた凍らしスポーツドリンクを飲んで、自家用車にもたれかかって21時を待つ。
ポケットに入れておいたスマホを持つ手が、汗で濡れていた。
(あと2分・・・)
待つと2分って長いんだよなあと思い始めたその時、あ!と聞き覚えのある声がした。
「居た居たー!ブンブンやっほ・・・む!」
「夜だぞ夜w静かにしてw」
「こ、こんばんは・・・」
「・・・・え?」
紀伊梨と。棗と。
それから紫希が、電柱の影から姿を見せる。
「早いねwまだ21時になってねえぞw」
「ご、ごめんなさい・・・」
「え、いや。それは良いけど何?」
「あのねー!あ、とととと・・・声声。あのねー、ブンブンにおめでとうを言いたくて!」
おめでとうを言いたくて。直接ってことか。
「紫希ぴょんが!」
「え?」
紫希は、一番後ろで縮こまっていた。
「じゃあ俺達、今から3分あっちで待機してっからw」
「終わったら呼んでねん!」
「え、待てよ。どういうこと?」
「あ、あの、私が悪いんです、どうしてもその、おめでとうって、その・・・直接言いたくて・・・」
「・・・なんで3分なわけ?」
「お邪魔ですから・・・」
「ふうん・・・お前ら2人は何しに来たの?」
「だって、ここまでの行き帰りは一人になっちゃうでしょw危ないじゃん男が居ないとw」
「紀伊梨ちゃんは、一人でお家がさみしーから来ました!」
ビシ!と挙手をする紀伊梨。
何から言えば良いのか丸井はすごく迷うのだが。
「取り敢えず帰ってくんねえ?」
「だよねw言うと思ったw」
「えー!せっかく来たのにー!」
「ご、ごめんなさい!すいません忙しい日に、また改めて・・・」
「「お前は帰らなくて良いの。」」
「え?」
丸井から手を捕まえられ、棗から背中を押し返され、後ずさりしかけた紫希の足がそこで止まるのを、紀伊梨はずるいー!と言って眺めた。