「はあ・・・はああ・・・・」
「真理恵どうしたのっ?」
「あれよ、可憐ちゃん。ほら、新人戦は関東の学校と当たるから。」
「あ・・・あ、ああっ!そっかそっかっ!」
そうだった。
新人戦は地方ごとのくくり。
ということは、六角が居るのだ。黒羽が居る可能性は高い。
(結局この間も、会えなかったって言ってたしなあ・・・)
そう。先日作ったシュークリームは、新城の手によって千葉の六角まで運ばれはした。
運ばれはしたが、行ってみると黒羽は練習のため海まで行っていて不在だと言われたのだった。
どこの海かと聞いても、流石にそこまではわからないと言われ。でも、多分終わったら一回は学校に帰ってくると思うから・・・という、クラスメイトだという人の話を聞いて、せめて渡しといて欲しいと渡すだけ渡して、新城は帰ってきた。
新城は今、二重に緊張しているのである。
ちゃんと自分の作ったシュークリームが黒羽の手に渡ったのかということと。あと、純粋に会えるのが久しぶりすぎてということと。
そう考えると、溜息吐く気持ちもわかるなあ・・・なんて思っていた可憐の背後で、金町ははん、と鼻を鳴らした。
「そもそも会えない可能性の方が高いのに、勝手に会える気になってびくびくしてる時点で。」
「な!んですってえ、このデリカシー0女!」
「あかりってば、もうっ。」
「だーって、本当のことじゃん!まあお互い勝ち上がっては来るとしても、それでもすごい数の学校だよ?」
金町の言う事は、ある意味では当たっている。
地区予選こそないけれど、集まる学校の数は夏の大会とほぼ同様。
「まあ確かに、新人戦は出る部員だけが会場に来るっていうパターンも多いから、ね。」
「あ、そっかっ。勝つとか負けるとかじゃなくて、普通に来ないっていう可能性もあるんだねっ。」
「そーいう可能性も考えないで、連絡先ひとつ聞いて来れないで、何やってんのって話よ。折角先生が教えてくれて、千葉くんだりまで行っておいてさあ。」
「~~~~~~!うるさいわねえ、しょーがないでしょ!」
「はいはい!もう喧嘩はその辺に!ほら、準備よ準備!」
「「はーい・・・」」
はあ、とまた溜息を一つ吐いて、新城は去って行った。
(・・・・会えないかも、かあ。)
好きな人になかなか会えないという新城の様子は、気の毒とは思う。
ただ同時に、今の可憐には楽そうにも見えるのだ。
あまりに近いと、見たくないものまで視界に入る。