「なんだこの試合wなんだw」
「でも良い勝負じゃーん!ほらほら、じろちゃんのポイントですぞっ!」
「確かにゲーム差的にはまあまあなんだけどさ・・・紫希、楽しそうだね。」
「え?私、楽しそうですか?」
「うん。」
「あはは・・・丸井君も芥川君も、楽しそうだからかも・・・」
それはその通りだった。
ゲームカウントは5-4で、ずっと1ゲームだけ丸井が差を付けて推移している。
ぎりぎりといえばぎりぎりなのだが、何故か追われてる丸井も、追う芥川もとても楽しそうである。
「・・・はっ!」
「40-15!」
「はあ、はあ・・・」
「はあ・・・すっげー・・・」
肩で息をしながら、それでもすごいと言い続ける芥川。これだから、どんなに気合を入れても入れた端から抜けてしまうのだ。
(ま、要らない力も抜けてるから良いけどよ。)
その時、氷帝のベンチの方で跡部が「タイブレークもありうるな」と呟いたのが聞こえた。
「タイブレーク?はあ、俺それでもEよ?はあ、・・・」
「冗談だろい、はあ・・・」
タイブレークはまずい。
スタミナ不足という弱点がもろに出てきてしまう。
(5-4か・・・)
これ以上ゲームを取られるのはまずい。ここで逃げ切りたい。
「タイブレーク嫌いなの?」
「好きじゃねえな。性に合ってねえし。」
疲れるし。と言わないのはプライド。
誰がみすみす弱点を教えるのか。
「ってわけで、こっからストレート勝ちさせてもらうぜい?」
「マジ?く~・・・俺もう、わくわくするC!」
自分のスタミナから逆算すると、もう猶予がないことを丸井は分かっていた。
続けるとジリ貧だ。本当は、ジリ貧になる時点でもう叱られるレベルのことなのだけど。
まあでも、お叱り云々は勝った後でだ。まずは勝たないといけない。
いつだって負けられないけど、今日はいつにもまして負けられないのだ。
練習試合で他校と戦ったことだってあるけど、その比じゃない。
皆が見てるし。
あの子が見てるから。
(こっち来いとか思っといて負け試合とか、洒落になんねえよ。)
「・・・タイブレークやろうよ。」
「させてみろい。」
必ず決める。決めて、勝つ。
もう自分は、常勝の名を背負うプレイヤーになったんだから。