New comers 6 - 3/5


「zzz・・・・・・」

「ぐっすりだね、芥川君っ。」
「まあそりゃそーだろ。」

試合後、健やかに眠り込む芥川。今日ばかりは、流石に突っ込む者は居ない。

「ええ試合やったな。」
「そうだねっ。言ってた通り、なんだか明るい雰囲気のまま終われたしっ。」
「ええ。それに、レベルの高い試合ができたし、ね?」
「あ、あれやっぱりそうだったのっ?」
「せやなあ。最後は突き放されてもうたけど、めっちゃ接戦やったと思うで。」

結局あの後、丸井は宣言通り芥川に1ゲームも譲ることなく、6-4で勝利を納めた。
丸井も綽綽余裕の勝利ではなかったことは見ていれば分かったが、それ以上にあの芥川が全力を出して、なおもゲームが取れずに負けた事の方が氷帝テニス部にとっては驚きだったかもしれない。

そしてS2でも立海の仁王に白星を譲り、氷帝学園は立海に二度目の敗北を喫した。

ただ、それに文句を言う部員は居ない。
今日のことは全て、次の夏への布石だからだ。

そういう意味では、立海よりも得たものは大きかったかもしれないとさえ可憐は思う。
芥川が起きてあんなに楽しそうに試合できる相手は、氷帝では跡部くらいしか居ない。

(・・・良かったね、芥川君っ。)

「zzzz・・・・・むにゃ、」

「さ、皆!」

網代がパン!パン!と手を叩いた。

「部長様が戻り次第、すぐ出発できるようにするわよ!バスに荷物を運んで!」
「「「「「「はい!」」」」」

これから氷帝テニス部は、学園へ一度戻る。
そこからまたミーティングだ。

「ジロー、起き・・・今日は無理か。」
「まあ、今日はな。岳人、足持ってくれ。」
「はいはい。せーの!」
「ええと、芥川君の荷物、荷物・・・あれ?」

芥川の鞄のチャックをしめてやろうとすると、中に真っ黒のリストバンドが見えた。

(・・・これ、何か見覚えが・・・)

「可憐ちゃん。」
「あ、忍足くんっ。」
「持つわ。」
「ああうん、それはありがとうなんだけど・・・」
「?」
「ねえ、鞄から見えちゃったんだけど、これ何かなっ?」
「これ?」
「このリストバンド、どこかで見覚えがある気がー--」

「それ、立海のじゃないかしら?」

「「え?」」
「丸井君が付けてたでしょ?でも丸井君だけじゃなくて、みーんな付けてたから立海テニス部の配布物なんじゃない?」
「・・・あああ、そういえばそうだっ!」
「なんでここにあるんやろ。」
「さあ・・・バタバタしてたから。とにかく、部長様・・・ああいや、幸村君に直接言うべきかしらね。本当は部長様を通すべきなんだろうけど。」

跡部は今、居ないのだ。