Outing 3 - 2/6


「・・・芥川君。」
「ん~?」
「・・・これ、何と思う?」
「あ!俺、それ知ってるC!あれでしょ?忠犬ハチ公!」
「だよねーー・・・・・!」

そう、此処は渋谷。
not 新宿 but 渋谷。

「なんで、なんで、なんでえっ!?地図だと此処の筈なのに・・・・」
「ん?あー。桐生ちゃん、地図逆さまになってるC~」
「えええ!?」
「ほら、こっちがこうっしょ~?だから、此処がこっちでー、」
「もしかして此れと思ってたのってこっち・・・!?」

愕然とする可憐。
氷帝からそう遠くないこの距離で、何故こうも器用に間違うのだろうか。

「お、落ち着いて私、落ち着いて・・・!兎に角、先ずはもう一度電車に乗らないとっ!芥川君、行・・・あ、あれっ!?」

居ない。
さっきまで其処に居たのに。

「芥川君っ!?芥川君、何処!?」

「桐生ちゃ~ん!こっちこっち、猫さん居るC~!すげーかわE~!」

「ああっ!何時の間にあんな所にっ!?あ、芥川君!」

慌てて芥川を追いかける可憐。
猫は魅力的だが、兎にも角にも、先ずは渋谷というエリアから新宿へ移動しなければいけない。

のだが。

「ニャオ。」
「あ!待って~!」
「あ、芥川君っ!駄目だよ、そっち行っちゃ!」

悲しいかな、可憐は知らないのだった。
何かに興味を惹かれた時の、芥川の尋常じゃない視野の狭さを。




「待って~」
「あ、芥川君ってば・・・・!」

「待て~」
「ちょ、ちょっと、」



「待て待て~」
「待ってええええ!」



早い。
人込みのおかげで、芥川のスピードが若干落ちているから辛うじて追いつけているようなものの。
幾ら普段眠っているとはいえ、あの跡部を唸らせるだけのスペックはある。脚だってそれなりに早い。
少なくとも可憐よりはずっと。

ようやっと芥川が立ち止った時には、可憐の頭から「此処は何処か」などという事はスポーンと飛んでいたのであった。

「やったー!捕まえたC~!」
「ニャーン」
「はあっ!はあ、はあ、はあ・・・!」

(よ、良かった・・・体力のある内に止まってくれて本当に良かった・・・!)

可憐は俯いて肩で息をした。しんどい。今日は暑いから尚更しんどい。

「・・・あ~!ねえねえ、桐生ちゃん!見て見てー!」
「え?」

顔を上げた。
芥川が指さした先。

「テニスショップだC!」

神様有難う。
可憐は本気でそう思った。