「何今の?」
「何か落ちたのかなー?」
悲鳴と音をバッチリ聞いた4人。
しばし靴紐を戻して音源の方へ向かうと、ディスプレイされていた特売アンダーシャツに埋もれる可憐と、わたわたとそれを助ける芥川の姿があった。
「桐生ちゃん!桐生ちゃん大丈夫!?」
「あ、芥川君・・・」
「大変です!」
「だいじょーぶ!?」
こういう時行動が早いのは紫希と紀伊梨である。
一目散に走り寄る2人の後から、千百合と棗は全体を眺めるが。
「しかしこれはまたw」
「派手にやったわね。」
見るも無残、としか言いようもない有様だった。
ぶつかった可憐の周りには、色とりどりのアンダーシャツが軒並み床に落ちていて、拾ったとしても店頭に又並べられるか微妙な所。
しかし拾わないわけにもいかないので、取り敢えず手近な所から纏め始める。
「あの!あの!大丈夫なんで、私が片づけますから、」
「その前にお膝の方、なんとかしましょう。」
「え?」
「あー!桐生ちゃん血が出てるC!」
体育座りする、可憐の右の膝小僧。
其処からうっすらと血が滲んでいる。
「ええと、ティッシュと、消毒と、絆創膏は・・・あ!ありました、大きいの。」
「おー!流石紫希ぴょん、女子力高いですなあ!」
「いや、これに関してはあんたの所為よ。」
「ええええ!?なんでー!?」
「お前が血が出ると泣くから持つようになったんじゃんw」
「そーなの?君、血が出ると泣くの?」
「う・・・だって怖いじゃん血が出るのー!」
「あは!本当なんだー!」
「ううう、うるしゃいうるしゃい!」
「ふふっ。」
「あの、あの、」
「はい?」
「ごめんなさい、迷惑かけて・・・」
「いいえ?私達は別に。」
しゅん・・・と落ち込む可憐を、紫希は妙な感慨を覚えながら見ていた。
自分も大概、有難うよりごめんなさいが先に出て来る方だが、成程。人から見るとこういう感じなのか。
「・・・よいしょ。これで、どうでしょう?」
「あ!有難うございます!」
可憐の膝には四角い大型絆創膏が綺麗に貼られていた。
それを紫希の後ろから、紀伊梨と芥川が覗きこむ。
「桐生ちゃん、お星さマンのばんそーこーじゃなくてEの?」
「お星さマンっ!?」
「す、すみませんお星さマンはちょっと持ってなくて・・・」
「あ、違う違う!俺、怪我した時はお星さマンが一番落ち着くからさー!」
「私キテ/ィちゃーん!」
「何の話をしてんのよ。」
「中学生の会話じゃねえやw」
膝の手当てをしている間に、シャツはすっかり回収し終わっていた。
その事が又申し訳なくて、可憐はますます落ち込んでしまう。
「あの、ごめーーー」
「あ!」
紫希のポーチを口に当てられて、可憐は言葉を止めた。
その紫希はというと、ええと、ええと、と言って目線を彷徨わせているが。
「こ・・・こういう、時は?」
「?」
「こういう時は・・・?」
(・・・あ!)
こういう時は。
「・・・有難う!」
ようやく笑った可憐の姿に、一同はホッと胸を撫で下ろした。