ダララララ・・・ダン!ダン!
ドラムの音を最後に2曲目が終わり、観客席から声援の波が襲ってきても、紫希は呆然としていた。
終わった。
できた。
できた?
(・・・・あれ?)
いつ終わったんだっけ。
ソロはどうやって弾いたっけ。
覚えてない。
いや、最後まで弾いたことは覚えてるけど。
(私、楽しかったことしか・・・)
「「「「アンコール!」」」」
「!」
紫希ははっとした。
そうだ。アンコールだ。
(ひ、引っ込みませんと!退場しませんと、そ、その前に挨拶、)
「紫希ぴょーん!」
「は、はい!」
「アンコール何が良いー?」
「え、ええっ!?」
「紀伊梨!アンコールはまた3人ってー--」
「やだやだやだー!」
「そんなこと言ったってw飛行船以外練習させてな・・・・あ。」
そういえば、あった。指慣らしに1曲だけ。
「いやでもあれはwうーん・・・」
「え、何。どれ。」
「どれでも良いじゃーん!やろやろー!」
「やろったって、私らもやったことあるのじゃないとでしょ。」
「いやそれはあるよwほら、しょっぱなの歓迎会ライブでボツったのあるでしょw」
「・・・・・え、あれ!?」
「あ、おけおけ!あれね!よっしゃ、けってーい!」
「ちょっと待て!」
「や、やっぱり私いない方が、」
「だからー---あああああ、もう!わかったもう、良いからそれで!」
「あの、私、」
「紫希ぴょんアンコールやりたくないのー?」
やりたくないか。
と聞かれたら、そうではない。でも。
「でも・・・私が居たら、」
「良いじゃん、居たら良いのー!さ、やるよー!皆ー!一緒に歌ってねー!皆知ってるからねー!」
「皆は知らんだろw」
「え?あ、そっかー!お客さんは知らないけどー!皆は知ってるからねー!」
(アンコール・・・)
やるのか。
やって良いのか。
できるのか。
やるしかない。
いろんな思いがぐるんぐるんと回るけど、我らがリーダーは待ってくれないから。
だから紫希も、考えないで心のままに動ける。
「じゃあ紫希ぴょん、いっくよー!1、2、3・・・4!」
キーボードのイントロを聞いて、これ校歌だと気づいた観客勢は、湧きながら大笑いしてロックアレンジを歌い上げたのだった。