「BTB溶液は・・・あ?アルカリ性で青に変わるとバツ?なんで?え?」
「BTB溶液は元々青いから、『変わる』って書くとバツになるんだよ。元々なんだったのか、って話になるだろ?」
「へー!」
「で、酸性になったら色変わってくんの。中性だと緑な。」
「あー、アルカリに近いから緑か。酸性になると黄色っすね。おかっぱ先輩、さっすが!」
「へへへっ!まあな。」
「馴染むん早いなあ。」
「仲良くなれて良かった・・・・よねっ?」
「まあ。」
向日がいの一番に思ったのは「知らん男子がいる」であった。
そう、男子。
見た目の印象で男子と判断した向日は、何の気なしに「侑士の友達?」とか聞いたりして。
先生、俺、受験生、などのワードから、どうも後輩にあたる小学生で、勉強見てもらっているらしい、という所まであたりをつけた。
そして、ひとしきり話した後で、そういえば名前を聞いてなかったなと思い。
名前はと聞いたら、神崎安音と返ってきた。
・・・あれ?女子?
そう聞いた瞬間、安音は目を輝かせて、男です!と言い切った。
その様子を見て、女かと判断したのは言うまでもない。
「・・・あれ、もうないや。先輩、お茶ちょっともらって良いです?」
「そこにあるだろ!別に良いけどよ。」
「わーい。」
「支障はないみたいやし、ええんちゃうやろか。」
「そうだね・・・」
向日は完全に、安音を男友達として認識することに決めたようだった。
もちろん、頭では女子とわかっている。
ただ、女子だと思って対女子のノリで付き合っても、面倒なことになるだけだと判断し、基本男子扱いすることに決めたのだ。
これは安音の機嫌を良くしたし、向日本人も楽であった。
それが良いのか悪いのかはさておいて。
~~~~♪~~~~♪
「・・・・・・」
「あれ、向日君切っちゃうのっ?」
「おふくろだよ!テスト週間だから迷惑でしょ、戻って来なさいってやつ!くそくそ、誰が戻るかよ!」
「今回は、原因何なん。」
「姉貴が俺のポテチ食べたから!」
そんなことで・・・と思う可憐だが、隣の安音は許せねーっすね!とめちゃくちゃ同調している。
「俺の弟もそうなんすよ!一口くれとか言うからやったら、二口も食べるんっすよ!信じらんねーっすよね!」
「なー!人としてどうかって話だよな!」
「わかるっす!」
「そんなに怒ることっ!?」
「まあ、大したことなさそうで良かったわ。神崎さん、お茶おかわり。」
「あ、あざっす!」
「大したことある!」
口を尖らせる向日だったが、結構間もなく普通の顏に戻って言った。
「お前って、一人っ子?」
「俺?弟居ますよ!」
「ああ、居る言うとったな。」
「どんな子っ?」
「えー?んー、別に嫌いじゃないっすけど、言うほど話合わねえっすねー。なーんか、すかしてるっていうか、やたら落ち着いてるっていうか?」
「「「へー。」」」
それは確かに正反対。
と全員が思った。
「似てるとこはねーの?」
「んー、あ!短気なとこは似てるっすね!」
「短気なのっ!?」
「喧嘩とか良くするん?」
「んー、まあ!1日2、3回くらいは?」
「どっちが勝つん?」
「え!」
安音はそう言ったかと思うと、目だけで下を見て。
上を見て。
横を見て。
「・・・まあ俺の方が上っすからね!」
「へー!お前負けてる方なんだなー。」
「負けてねえよ!本当は勝てるの!手さえ出してよければあんな奴・・・・・!」
「手さえ出してよければって・・・」
「弟さん、口で言い負かすタイプなんやな。」
「そうなんすよー!男らしくねえっすよねー!」
「姉ちゃんとはいえ、女子に向かって手出す方が男らしくねえだろ・・・」
「神崎さん、ほんまに男子に生まれとったら、えらい荒れたやつになってそうやな。」
「わかる・・・あれっ?え、え、x=1にならないっ!なんでっ!?」
「可憐ちゃん、この公式はここでは使わへんねん。」
「えっ?」
「ここまではあってるんやけど、これっていうのんは点PとQの関係を表した式やさかい、この三角形のことには使われへん。せやから、こっちをxとおいて、もう一個式を考えな。」
「い、言われてみればそうだった・・!ええと、三角形PEDの面積が・・・」
「・・・・・・・」
向日は一生懸命数学に勤しむ二人をちょっとだけ見て。
そして自分のノートに向き直った。
「おかっぱ先輩、国語苦手すか?」
「え?いや?まあ、別に得意でもねえけど、苦手ってほどでも。なんだよ急に?」
「いや、急にむずそーな顏するんで、そーかなーって。」
「ああ・・・別に、国語で悩んでたわけじゃねえよ。」
というか、もっと正確に言うと、悩みというほどの悩みですらないのだ。
ちょっと気になるだけ。
でも、安音が難しそうな顏と言うんなら、無意識にそうなってたのかもしれない。
「俺は、頭良いやつの考える事って、さっぱりわかんねーな。」
「あー、わかるすそれ!考えるだけ時間の無駄だし、俺考えてねっすよ。」
「・・・でもお前見てると、多少は考えてやらないとかなー、って気がしてくんだよなー。」
「えー、どういう意味すかそれー!」