Queen’s country:Request - 2/6


その頃紫希は、C組メンバーとD組メンバーを混ぜた5人で、会話を楽しみながら外を見ていた。
さっきまでトランプをしていたのだが、ぼちぼち着くぞということで、キリの良い所で片田付けてしまったのだ。

「春日。」
「はい?どうしたんですか、真田君。」
「気分は大丈夫なのか?お前は高所が苦手だと言っていたが。」
「飛行機は、普通にして居れば落ちられないので安心できます。あんまり下を見なければ、怖くないですし。」
「そういうものか?」
「はい。心配してくださって、ありがとうございます。」
「いや。お前が問題ないというのであれば、それで構わん。」

紫希が高所を苦手と思う事のひとつに、落ちそうというのがある。
飛行機は、ふらっと来ても自分の意志で落ちることはできない。
だから、飛行機は結構大丈夫なのだ。別に、足の下が透けて見えたりしないし。

「っていうか、さっきからあんまちゃんと見てなかったけど、ここどこ?雲の中?」
「おそらく違う。」

千百合の疑問に柳がさらりと答えた。

「え。でも外がさ、」
「確かに雲の中に似ているが、こうなってからの時間が長すぎる。おそらくこれは、霧だ。」
「霧?」
「ああ、イギリスは霧で有名だからね。特にロンドンは、霧の都なんて呼ばれてるし。」
「そうなの?」
「ああ。時期からしても、霧が深くなりやすい。」
「明日から散策、大丈夫でしょうか・・・」
「うむ。視界が悪いと、事故を起こしやすい。注意が必要だな。」
「そんなレベルの霧なの?マジで?」
「そうらしいよ。本当に酷いときは伸ばした自分の手が見えないらしいね。」
「マジか。」
「あはは。大丈夫、今は飛行機が飛んでるから。これでもまだ、見える方だと思うよ。」
「えー。」

そうは思えない視界の悪さだった。
今既に。

『・・・皆さま、間もなくロンドンエアポートに到着致します。ご自分の座席にお戻りいただいたら、シートベルトのーーー』

そろそろ下りるというアナウンスが入るが、とてもそんな陸地が近いとは思えない。
うっすーら確かに明かりは見えるが、距離感が掴めない。

これは本当に事故が起こりうるぞと千百合が思っていると、温かい手が千百合の右手をそっと包んだ。

「後でね。」
「・・・ん。」

幸村はすぐに手を離して、後部のD組ゾーンへ移動していった。
千百合は右手をぎゅっと握った。
そうしておくことで、手の中に霧が入らないような気がした。