Queen’s country:Haunted castel 2 - 6/6


こんな城に連れて来て、何なんだ危ないじゃないか。
と、カーラに対して感じた者も、居ないではなかった。

だが、ギミックのことを聞いた幸村に、キョトンとした顔でカーラが「あら?仕掛けを動かす部屋は、戸締りされていなかった?」と返したことで、非難の目線は棗に向かった。
仁王は居ない。
いや、多分近くには居るけど。

一同がまあまあ大冒険した後の顔をしているのを察してか、カーラはおかしそうに、喜んでもらえて良かったわ、と言った。

まあ、図らずもいろいろ見られたことは確かだった。
すべてがギミックだったと分かった今、あの城で見た不気味なものは、結局全部危ないものじゃなかったのだとわかって、千百合の言う通り「できの良いお化け博物館」になったのだ。

そう思うと安堵から体の力が抜け、昼の疲れもあって、帰りは大抵の者が健やかに眠っていた。

そんな中で、ただ一人。
幸村精市だけが、起きていた。

いや、幸村とて眠いのだ。元来早寝だし。
でも、気になることがある。

(・・・彼女は、鍵がかかっていたと言った。)

カーラは、コントロールルームに対し、戸締りしてあったはずだと言った。
つまり、彼女は以前ここに来たことがある。
一瞬、下見の際に開けられないことを確認したのかと思ったが。

(あそこは開けられなかったとするとーーー彼女はなぜ、中がコントロールルームだとわかっていたんだろう。)

鍵がかかっているのに何の部屋かわかるのは、つまり開いてる時にそこを見たことがあるからだ。あそこは地下だったから、窓から見えたわけでもない。
となると、カーラは映画の関係者だったのか。

でも。

(彼女は、仕事を止めたと言った。名前がバレたらまた連れ戻されるからと言って、名前まで仮名で通してる・・・なのにわざわざ、のこのことかつての現場に行ったりするかな。)

夜だから誰も居ないと踏んだのか。
いや、それでも脇が甘い行為ではないか。

あの映画は、調べた所、「ジョセフィーヌ」と言う映画だった。最終的なオチとして、使用人のジョセフィーヌこそがすべての黒幕であり、主人公はジョセフィーヌの霊を除霊して終わるのだ。

ただ、結局当のジョセフィーヌ役の女優が結構なわがままで撮影が難航し、コストが膨らみ過ぎたので、結局撮り終えることなく映画企画自体が立ち消えになった。らしい。

参加した女優の中に、カーラの顔はなかった。
ということは、スタッフか。

スタッフで、名前が割れてて、本名が分かると連れ戻される。
そんな有名なスタッフだったんだろうか。

(でも・・・監督やプロデューサーや、主要スタッフに女性の名前は出なかった。全スタッフの中になら女性も何人も居るけど、それならそこまで有名って言うほどでも無い。ゲストは居ないし、主題歌のアーティストは顔が公表されてるから別人で確定だ。)

となると、やはりスタッフではないはず。
他にあの城の関係者というと、持ち主くらいしかもう思い当たらないのだが。
持ち主なら、貸してくださいと言われた際に、一通り「この部屋はこの用途に使うつもりです」なんて説明を受けることもあるだろう。

(・・・いや、それでも変かな。自分が継いだ城をうろつくなんて、身元を知られたくない人のすることじゃないし。そもそも本当の持ち主だったエバンス氏は、スイスで家庭を持って子孫もずっとスイス人と同様に暮らしてるらしいから、イギリスで身元が割れる心配なんてーーーー)

「(そろそろ到着しますよ。)」

幸村はハッと顔を上げた。

到着します。
と言われても、相変わらず霧が深くて、近いかどうかもよくわからないのだが。
でも、明かりが周りにあるのはぼんやりわかるので、確かに町中に戻ってきている感じはする。

「(ありがとうございます。)」
「(貴方達。)」
「(はい?)」
「(勝手ながら、少し調べさせていただいたんですがーーー日本の学生さんで、修学旅行だとか。)」
「(ええ。)」
「(それなら、もうロンドンーーーー)」
「?」
「(ーーーいや。余計だな。お気になさらず。)」
「・・・?」

それならもう。
ロンドン。

もう、ロンドン。

(・・・もうロンドンは、十分見て回りましたか?いや。これは別に、余計なことでもないな。もう、ロンドンから出ていくんですか・・・これは、まああるかもしれない。)

もう出ていくのか、と聞くのは、「いつ出ていくんだ」と言外に匂わせるような感じになってしまう場合がある。
彼は、そうとは言わないが、さっさと出て行って欲しいのかもしれない。

生憎、まだ一泊ある。
日程にして2日間。

(・・・そういえば。)

何も聞かされてないけど。
明日もカーラーーー烏の方のカーラは、居るんだろうか。