文学フェアと言っても具体的にやることはいろいろあるが、今年はどうやら生徒1人1人が好みの1冊を出し、プレゼンとして自分でPRポスター製作を行わなければいけないらしい。
ポスターと言っても別に絵に振り切る必要はなく、ミニ新聞的なものでも良いらしいので、芸術に自信が無い人でも大丈夫。
とか言われても、そもそも本選びに苦戦している勢にとっては、さほどの慰めにならない。
「はー、ムリ!私ムリ!こういうのムリ!本とか読む人種じゃないってばもー!」
「漫画ありなら救われるんだけどね~。」
「まあラノベOKなだけまだ良いんじゃない?可憐はもう決めたの?」
「ううん。迷っちゃってっ。」
こんなの別に適当に選んだら・・・なんて思うのは、甘い考え。
苦手な者ほど、初手の本選びをおろそかにしてはいけない。
さして好きでもなんでもない本を持って来られて、これをPRしろと言われることが、どんなにきついか。
普通に本心から好きな本の方が、数倍は楽。
かといって。
じゃあ好きならなんでも良いのかと言うと、それもちょっと違う。
実は今回の文学フェア、被って良いのは10人までとされている。
あまりにも被りまくると、フェアとしての体を成さないからと言う措置だった。
だから好きな本があっても、定員の枠をオーバーしているとそれはもう紹介できない。
このシステムが、内川のような本に縁の無い者を苦しめるのだった。
多くの人が紹介している中に混じって適当に済ます、ができないから。
「手持ちの本から選んだらっ?それに、帰りに図書室とか、図書館とかっ。」
「ムリ・・・どれなら読めるのか自分でもわからない・・・ムリ・・・」
「まあ、読みだしてから無理って判断しても、時間の無駄だしね。」
「何か本ソムリエみたいな人居ないかな~?あなたにおすすめの1冊はこれ!みたいな~?」
「周りに読書家居ないからなあ。」
紫希は可憐の周りの読書家とも言えるが、この場合は残念ながら頼れない。
紫希は立海だから、たとえば図書室とか図書館に無い本を勧められた場合、それがスッと手に入るかどうかわからないからだ。
「とりあえず図書室行ってみない?」
「そうだねっ。なんでも良いから見ないと、何も進まないしっ。」
「ほら、さっさと前向けよ~?」
「ハ~イ・・・・」
多分図書室は、似たような発想の人でごった返しているだろうけど。
でも、告知から何日か過ぎたから、ピークはもう越しているはず。
という見立てをしながら、4人は図書室へ足を向けた。