Local 3 - 2/7


今日は暑い。

夕暮れが近づいているとはいえ、こんな日差しの中でジャケット来て登校とか冗談じゃない。
だもんで、ビードロズの4人はジャケットを脱いで、準備完了だ。
可憐は紀伊梨が一番体型的に近かったので、紀伊梨のものを借りる事にした。

「おーす・・・おおw」
「お似合いですよ、可憐ちゃん!」
「うん、バレないんじゃない。」
「そ、そうかなっ?」

五十嵐家の両親は、紀伊梨が如何に走ったり飛んだり回ったりするか知っている。
だから制服は夏用冬用各2着づつ、計4着有るのだ。

「可憐たーん、本当にカーディガンその色で良いのー?ピンクの方が可愛ーよー?」
「だっ、駄目だよ!校則で決まった色じゃないと・・・!」
「可憐の方がよっぽどちゃんと制服着てるわね。」
「あはは・・・紀伊梨ちゃん、最近はネクタイも止めてませんものね。」
「さて、じゃあ行きますかw桐生ちゃん、後ろ乗ってw」
「あ、うんっ!」

立海は、幸村含む5人の家からそう遠い所ではない。
ただ、今日みたいな暑い日しかも休日となると、自転車でサッと行ってしまいたいというのが人情であろう。

「練習って、後どんくらいあるんだっけー?」
「18時だから、後2時間位。」

この暑い中で、後2時間。
立海だろうがどこだろうが、運動部は大変である。

「氷帝は、時間はどうなんですか?」
「うちも同じくらいだよっ!本当は、もっと時間取りたいけど・・・」
「ま、難しいわよね。」
「そーなのー?なんでー?」
「お前俺達が中学生だって忘れてないかw」

幾ら学校全体で運動に力入れてると言ったって、
夜の19時とか20時とかまで残して練習させるのを「普通」には出来ない。
どんなに部員ら本人達がやりたい、と言ってもである。


などと話している間に、立海大はもう目の前。


「とうちゃーく!」
「わあ・・・・!やっぱり、広いねっ!流石、マンモス校だよっ!」
「そっちには負けるわよ。」
「う、うちはなんというか、色々アレだから・・・!」

可憐もマネージャーとして、蓄積された他校の過去データ等を見たりはしているが、やはり立海は規模が大きい。
母数が多いと選手の層に幅が出来るので、それだけで恵まれていると言える。

(それに、この案内図・・・)

やはり、このくらいの強さにこのくらいの大きさとなると、屋内練習場は付き物だ。
氷帝にもあるが。馬鹿でっかいのが。

「可憐ちゃん、こちらです。」
「うん!・・・あれっ?」
「どしたの。」
「あ、ううんっ!何か聞こえる気がして・・・」

向かっている方向からだ。女子の声。
女子テニス部か、それともファンかと思ったが、なんだかどちらも違う気がする。

「あ!応援部の皆だよー!」
「応援部・・・?」
「はい。もうそろそろ地区予選が始まるので、テニス部担当のチアガールの皆さんが、練習がてら来られてるんです。」
「わあ!」

可憐は目を輝かせた。
良いではないか、チアリーダー。青春っぽい響きで、素敵だ。

「氷帝にはないのw」
「あ・・・あるんだけど、跡部君が、キンキン煩いからって。男子テニス部は頼んでないんだっ。」
「ああ、言いそう。彼奴。」
「ねーねー、じゃあさじゃあさ!何か、代わりの掛け声みたいの、あるの?」
「え”・・・」

あるには、あるが。
一応。入部してすぐ、跡部の作った例のアレが。




『勝つのは氷帝!勝つのは氷帝!』
『負けるの○○!負けるの○○!』
『勝者は跡部!勝者は跡部!』
『氷帝!氷帝!氷帝!氷帝!』




「・・・・・」
「おーい!可憐たーん!」
「・・・はっ!あ、ご、ごめんねっ!ちょっと色々、頭の中でくるくるしちゃってっ!」

あのコールは不思議と耳に着くと言うか、一度脳内に流れ出すと暫く止まらないのである。

「そろそろ着くわよ。」
「あ、はいっ!」

5人は、あの自販機裏の道を通る。
実は、可憐は勿論だがビードロズの4人も真面に此処に来るのは初めてだ。

「今日は、人の入りはどうなんでしょうか・・・」
「あー!そだよねー!又いっぱいなのかなー。」
「流石に今日は居ないんじゃない。」
「休みだし暑いしねw」

逆に今日居るという事は、かなりの根性である事が予想される。
誰を思ってかは知らないが。

「さて、此処を抜けますと・・・」
「おー!空いてるー!」

(わあああ・・・!)

辿りついたテニスコートの周りは、果たして紀伊梨の言う通りであった。
GWしかもこの暑い中で、それでも尚フェンスにへばりつきっぱなしのファンとなると流石に少なく、この間の人だかりはなんだったのかと思うほど空いていた。

「す・・・凄い、これが王者立海の練習風景・・・!」
「そ、そんなに違いますか?」
「普通の練習風景だと思うけど。」
「なんか、タレントさんのやる事ならなんでもよく見えるファンのようだねw」
「皆何処かなー!」