一方その頃、ビードロズ4人は会議を終えて一足先にフェスタに来ていた。
夜のステージはご当地アイドルの独壇場だから、昼からやってる手品見に行きたいと紀伊梨が言い出したのだ。
「うーん!良いね良いね、このお祭り感!」
「出店が此処まで出てるとはね。」
「祭りの定番だなあw」
「あの、私ちょっと、其処の苺飴買って来ても良いでしょうか?」
「ああ。良いんじゃない、私ら待ってるし。」
「あー!!私も食べるー!」
「あんたはさっき焼きそばと唐揚げ食べたでしょ。」
「お腹壊すぞw・・・おろ?」
携帯が鳴ってる。
このバイブのリズムは、メールではなく着信だ。
「誰?」
「・・・真田だわ。」
「おー!珍しいー!」
「どうかしたんでしょうか・・・」
「かも。はい、もしもし?」
『黒崎棗か!』
焦った声。
一体どうした。
「おう。どしたの?」
『今何処だ!?先に行くと行っていたが、もう会場か!?』
「居るよ。全員揃ってる。どうした。」
『・・・すまん!この通りだ!』
「おい、ちょっと待て!この通りって言われても分からんって!何!どうしたの!」
「何ー?」
「来れなくなった、とかでしょうか・・・」
「でもそれ、真田が連絡してくんのもおかしくない?」
『頼みがある・・・!』
「分かった、分かったから落ち着け。な?どうしたよ。」
『甥が迷子になった。』
「・・・は?」
『居なくなってしまったんだ!兄夫婦と来て居たのだが、目を離した隙に!』
「待て待て待て待て待て・・・・!」
いけない。
それはいけないぞ。
「迷子センターには行ったんだよな?」
『ああ!放送もかけて貰ってるのだが、一向に見つからん・・・!』
「そりゃあそうだわ・・・」
見てご覧。いや聞いてご覧この煩い会場を。
屋外だから音が拡散して、そのせいで行き交う人達は音量を上げて話していて、皆がそうするから余計に煩い。
普通にしてても放送なんか聞こえづらいのに、親から離れてる子供なんて尚更だろう。
パニックになってるか、何かに夢中になってるかのどちらかしかないのだから。
「じゃなくて、取り敢えず俺達も一度親と合流したいから、センターに誰か居て欲しいんだけど。特徴とか、写真とか欲しいし。」
『今、義姉さんが1人で待機してる筈だ。』
「オッケー。じゃあ行くから、お前はその義姉さんとやらに俺達の事伝えといて。不審者じゃないからね。」
『分かった。』
「ねーねー、なっちん!誰か迷子なのー?」
迷子センター。
親と合流、特徴、写真。
その単語の羅列だけで、何処かしらの子供が迷子さんなのだろうというのはなんとなくわかる。
「真田の甥っ子らしい。」
「おいっこ・・・って、親戚の誰だっけ?」
「お兄さんとか、お姉さんの息子さんの事です。」
「えー・・・あ!私から見てみゆみゆの事?」
「それは従姉妹でしょ、馬鹿。」
「あり?まー良いや。真田っちー!」
紀伊梨が棗に飛びついた。
『五十嵐か?』
「そーだよ!迷子になっちゃったの?」
『ああ・・・身内として情けな・・』
「大丈夫だよ!」
『・・・何?』
「これから皆で探すからね!きっと見つかるから、大丈夫だよ真田っち!」
根拠などない。
根拠など無いけれど、根拠なんて要らないから大丈夫と言って欲しい時が、人にはある。
『・・・・・・』
「聞こえた?まあそういう事だからw」
「それより、真田君達は焦らないで気をつけておいで下さいね。」
「そうよ。そっちが慌てて来た挙句怪我したとか、洒落にもなんないわよ。」
『・・・ありがとう。』
紀伊梨はニイッと笑った。
「よーし!皆、行くよー!」
「「「おおー!」」」
ビードロズ、行動開始。