Daily conduct 2 - 5/7



俄かにバタつきだした可憐の部活事情だが、ビードロズ達は今現在、もっとバタバタしていた。

「左助君!真田左助君、居たら返事して!お母さんがセンターで待ってるわよ!」

携帯で写真を確かめつつ、屋台が固まっているところで声を張り上げる千百合。

かき氷が食べたいと直前に言っていた、という情報から屋台のある周辺を探す事に決めたのは良いものの。
これは予想以上である。

(くそっ、声が全然通らない!人が多過ぎて・・・!)

声が人に吸収されてしまうし、そもそも視覚的に不利になる。
行き交う人々が目を眩ます所為で居るのか居ないのかの判断が極めてつき辛く、目を凝らして暫く立ち止まって居なくてはいけないのがイライラを誘う。
ぐずぐずしていられないのに、ぐずぐずせざるを得ないこの焦り。

こんなにこんなに人が居て。
もしかしたら危ない奴が中に居るかもしれないのに。

(・・・ええい、もう!結局叫ぶしかないんだから!)

「左助君!左助君、何処!」

こんな事なら普段から大声出す練習しとくべきだったか。
苛立ちながら千百合は又叫び出すのだった。




「左助君!真田左助君は居ませんか!左助君・・・!」

紫希は海沿いの周辺を重点的に探していた。
真逆海に落ちたりはしていまいな、と生来の心配性が顔を覗かせた結果、此処を離れている間に左助が海の事故にあったりしていたらどうしようとか考えてしまって、離れられないでいた。

「左助君!さ・・・!つう、あ・・・」

足が痛い。
と思って下を向いたら、小指の所が擦り剥けて血が滲み出していた。

サンダルなんて履いてきてしまったから。
普通に遊ぶだけならなんともなくても、こんなに彼方此方走り回るとなると、スニーカーでないと靴擦れを起こす。

(・・・いえ!痛いとかそんな事はどうでも良いんです!)

そんな事に拘っている間に、何かあったら後悔してもしきれない。

再び走り出そうとした時、近くのスピーカーのスイッチが入った。


『迷子のお知らせを致します。真田左助君、4才が迷子になっております。赤いTシャツに・・・』


(・・・スピーカー?)

「・・・そうだ!」

紫希はグループLINEを開いた。




紀伊梨と棗は2人で、公園の入口付近のガーデンアートエリアを探し回っていた。
勿論2人が一緒に居るのは、紀伊梨が迷子になるという二次災害を防止する為である。

「さーすけくーん!左助君は居ませんかー!」
「あの!其処の人、男の子見なかったですか?こういう写真で、迷子なんですけど、」

見つからない。
紀伊梨の大声を持ってしても、左助の返事が聞こえてくる事は無かった。

「放送も鳴ってるのにー!聞こえてないのかなー?」
「聞く余裕が無いんだよ。子供ってそういうもんだよ。」

子供というのは基本聞く耳を持たない。
放送も呼びかけも言葉の意味を考える事なく只の騒音と捉えてしまって、よく分からないけど煩い、怖い、と余計にパニックになる場合もある。

(しっかし、これだけ時間経ってて出て来ないとなると・・・)

考えられる限りで可能性が高いのは3つ。
パニックになっている場合。
何かに夢中になり過ぎて・・・という線は、長時間になると捨てられる。子供の集中力はそれ程長続きしないからだ。
或いは、あまり考えたくないがなんらかの事故に遭って自分で動けない場合。

そして1番ありそうなのが、自分達の探索範囲外。
つまり、敷地から出ようとしているか或いはもう出てしまっている場合である。

此処は公園。
デパートでも遊園地でもなく、自動ドアもゲートもない。
自分でフラフラ親を探している間に、いつの間にか公園を出て他所の土地へ、という展開は十分あり得る。

仮に今は公園の中に居るとしても、何時出て行くか分かったものじゃない。

せめて公園の中に居てくれれば。

~~♪~~♪

「おっと、LINE。」
「見つかった?」
「いや・・・・紀伊梨。」
「うにゅ?」
「これ、どう?出来る?」

棗はLINEの画面を見せた。

「・・・・おおお!良いよ、やろう!」
「おし!迷子センターに戻んぞ!」
「おおー!」