「あー!真田っちだー!」
幸村と千百合を乗せたミニパトカーが出発した頃、兄一家と別れた真田が漸く戻ってきた。
「真田っちお帰りー!」
「ああ。・・・む?幸村と黒崎千百合は何処だ?」
「あの2人なら先に帰ったぜ。」
「どうやら、パトカーが不足しているようだ。一先ず2人乗れるという事だったので、あの2人を。」
「そうか・・・」
まあ仕方がない。
真田は被っていた帽子を取って、深々とお辞儀した。
「・・・甥が迷惑をかけた!本当にすまなかった!」
「そんな事、良いんですよ真田君?」
「真田、謝る必要はない。俺達の中の誰も、迷惑をかけられたなどと思っていない。」
「見つかったんだから、それで良いさ。」
「いや!そういうわけにはいかん!今回の件は真田家の監督不行き届きで、」
「頭かってえなー、真田は。」
「そんなに言うほど大した事しとらんぜよ。」
「そもそもお前の所為では無いしなw」
「しかし、」
「良いじゃーん!難しい事は言いっこなしでさー!」
紀伊梨がとうとう音を上げた。
「もー、長い話とか良く分かんない話は止め!止め止めー!左助君は見つかったし、悪者は捕まったし、誰も怪我してないし、それじゃ駄目なのー?」
「いや、駄目だとかそういうことでは、」
「ほらほらほらー!この眉間の皺はなんですか眉間の皺はー!せーっかくのハッピーエンドが台無しですぞっ!」
「おい!触るな!止めんか五十嵐!」
「真田も五十嵐には勝てないな。」
「ふふふ。紀伊梨ちゃんは無敵ですから。」
「えっへん!もっと褒めて良いんだよ、皆!」
「良し良しw今日は良く頑張ったねw」
「そうそう!スピーカーで歌ってたの、効果あったんだろい?」
「ああ。五十嵐が歌ってるのが聞こえて、良く聞こうとして敷地外に出そうになった所を引き返したと言っていた。」
「やったー!凄いぞ私ー!」
今回ばかりは、何が凄いだなどと言える人は居ない。
左助を公園に留めたのは、間違いなく紀伊梨の功績だ。
「でも考えたのは紫希ぴょんだよね!流石紫希ぴょん、頭良いー!」
「いえ、あれは思いついたまでです。やっぱり紀伊梨ちゃんの歌唱力が無ければ思うようにはいかなかったと思いますから、あれはやっぱり紀伊梨ちゃんの功績ですよ。」
「えへへー!そっかなー?ところで、こーせきってなーに?」
「ええと・・・」
「これさえ無ければ手放しで褒めてやるんじゃがのう。」
「まあまあ、ご愛嬌さw」
などと話していると、又警官の1人が近づいてきた。
「あ、次すかw」
「ああ。パトカーが2台来たから、3人づつで6人乗れるな。」
「・・・という事は、2人はまだ待たなければならないな。」
今居るメンバーが、紫希、紀伊梨、棗、真田、柳、丸井、桑原、仁王の8人である。
其処から3・3・2に分かれて、2人はまだ帰路にはつけない。
「まあ、取り敢えず紫希と紀伊梨は帰るの決定として、」
「あの・・・私、残っても良いでしょうか?」
紫希が棗を遮った。
「えー?紫希ぴょん帰らないのー?なんでー?」
「あ、あの・・・その・・・遅くなるなら、苺飴の屋台に並ぶ、時間が、ある、かな、と・・・」
段々顔が赤くなる。
ああ恥ずかしい。
お前どんだけ苺飴好きなんだよと思われる。
でも好きなんだ苺飴。食べ損ねたんだ苺飴。
「マジかよw理由それかよw」
「ごめんなさい!ごめんなさい、でも食べたくて・・・!」
「別に悪いとは言っとらんぜよ。」
「しかしそれでは・・・」
「それなら私もー!私も残ってたこ焼き食べるー!」
「俺も!俺も残って焼きそば食べる!」
絶対釣れると思った。
この提案に食い助2人が食いつかないわけがない。
「まあ、こうなるだろうな。」
「言うと思ったぜ・・・」
「あ、で、では紀伊梨ちゃんと丸井君で・・・」
「おい!何故提案した者が先に引っ込むのだ!」
「でも、」
「まあまあ紫希は決定にしてやったらwこの子がこの手の我儘言うの珍しいんだからw」
「えええ!?駄目ですよそんなの、」
「良いよー!勝負だブンブン!勝った方が紫希ぴょんと屋台行けるんだかんね!」
「おしきた、上等だろい!」
勝った方と紀伊梨は言うが、勝負の方法はやはりこれ。
困った時の。
「「じゃーん、けーん・・・・!」」