「そーだったー!懐かしー!」
「懐かしいねえ。あの時は吃驚したよ。」
やると言い出す程気に入った事も吃驚したが、それ以上に吃驚したのは紀伊梨の行動の速さだった。
言い出してから僅かに1週間後には既に「バンドを組んだらやりたい事」がーーーつまりオリジナルの曲作りやらライブやらの目標が決まっており、その2週間後にはもう「ビードロズ」が結成されていた。
小学生らしからぬフットワークの軽さに小田桐は話を聴きながら内心焦ったものである。
(ただ、やっぱりやろうと思ったからってメンバーや設備なんかは早々整うものじゃないんだけどねえ。)
それでも皆が参加して、千百合や棗に至っては楽器の購入迄サッと決めた。
この辺は紀伊梨の熱意と、生まれついてのラックの強さであろう。この子は基本的に運が良いのだ。神に愛されてると言っても良いかもしれない。
「これからもそうであって欲しいよねえ。大人としては。」
「んお?何がー?」
「いいや、何でもないよ。」
別に自分の子でも何でもないが、昔から知ってる子供達。
どうかその未来に幸多からんと思いつつ、小田桐は微笑んだのだった。