「ごめんね、忍足君・・・」
「ええて。大した事やないし。」
いつにも増して遅くなった今日、可憐は忍足に家まで送って貰っていた。
「それより、本〆切までは明日から2日やけど・・・」
「そうだねっ!最後まで気を抜かないで、」
「やのうて、大して修正もされへんかったんやから、もうちょいスローペースにしいや。又居眠りで減点貰うで?」
「あう、はい・・・!」
忍足は苦笑いした。
この、取り敢えずなりふり構わないで努力する姿勢も、もう少し使い所を覚えていって貰わなければ。
「あ・・・私の家!此処!」
「此処か。思うてたより駅から近かったな。」
その近い距離でどうして初日転んだんだろうか、と思われるかもしれないが、其処で転ぶからドジなのである。
「ほなら、又明日な。」
「うんっ!今日は有難うっ!」
「有難うはええけど、可憐ちゃん。」
「うん?何ーーー」
門にかけていた可憐の右手。
その上に忍足の左手が重なった。
「え・・・」
「今日はよう休むんやで?ゆっくり風呂入って、ゆっくり寝えな。」
「う、ん・・・」
「ほなら、おやすみ。」
(あ・・・)
離した手を軽く振って、忍足は来た道を引き返して行った。
可憐もゆるゆると手を振って、その背を見送った。
「・・・手。」
あったかかったな。
ほんのり染まる頬の色に、可憐はまだ気がつかない。