Set conditions - 3/8


「桐生、ちょっと良いか?」
「はい、どうぞっ!」

次のお客(という表現は微妙かもしれないが)は宍戸。
手には英語の教科書。

「英語かなっ?」
「あー・・・その、英語といえば英語なんだけどよ・・・」
「?」
「・・・俺!英会話出来ねえんだ!」

あー、と可憐は思わず声を出してしまった。

お分かりの事と思うが、英語を聞いて話すのは、問題を解くのとは微妙に違うスキルが要求される。
どっちか片方が出来るから、もう片方の方も得意・・・とは簡単になれないのが辛い所。

「ううん・・・兎に角先ずは、単語を沢山覚えちゃおうっ!」
「単語?」
「うん!話す時に単語が分からないと辛いのは勿論だけど、「知らない単語は聞けない」っていう説があってね?リスニングの時でも、知ってる言葉が多ければそれだけ拾える単語が増えるよっ!」
「おおお・・・!成程、そうか!もう片っ端から洋楽聞いたりするしかないと思ってたぜ!」
「あ、それも有効だよっ!だから、時間があるならそれもやっておくと良いと思うな!それから単語帳は・・・」

可憐がサクサク解説していくにつれ、宍戸の顔が明るくなってゆく。
正直英会話苦手だなんて、言われた方も「知らんがな」としか返せないだろうなと思っていたのに。

「・・・お前凄いな!」
「えっ?」
「今迄周りに、勉強得意な奴居なかったからよ!なんつうか、すげえ頼りになる!って感じだぜ!」
「ほ、本当っ!?」
「おう!」

(わああああ・・・・・!)

頼りになる。
なんて素敵な響きだろうか、今迄縁も所縁も無い言葉だと思っていたのに。

「・・・桐生?」
「宍戸君っ!」
「おお!?な、なんだよいきなり・・・」
「頑張ろうねっ!絶対良い点数取ろうねっ!」
「お・・・おお!やってやるぜ!」

パッションタイプが2人揃うと急にエンジンがかかる。
ほどほどにしとけよ、と見てた人から声がかけられるまで後30分。