Set conditions - 4/8


「桐生ちゃ~ん!」
「わっ!?あ、芥川君っ!?」

宍戸の対応を終え、自習に戻って15分。
突如芥川が走ってきたと思ったら、自分の隣で屈みこんでしまった。

「何っ!?何っ!?どうしたのっ!?」
「跡部が怖E!」
「おいジロー!」

芥川の視線の方を向くと、額に青筋立てている部長様の姿が。お怒りである。

「えっ、何?どうしたのっ?」
「どうしたもこうしたもねえ。此奴と来たら、やってこいと言った分のテキストも進めねえで・・・」
「だって分かんないC。」
「開き直るな。」

この跡部相手に此処まで堂々と「出来ない」宣言出来る者も珍しかろう。

「芥川君、何がそんなに分かんないのっ?」
「古典!」
「・・・跡部君、古典とか漢文はいきなりテキストは解けないよ?」
「アーン?どうしてそうなる。読んで解くだけだろうが。」
「それは跡部君だから出来るのっ!」

この王様は、テニスの事に関しては「俺様がNo.1だ!俺様に敵うと思う奴は前へ出な!」という思考なのに、何故か其処から1歩出ると度々謎の同一視が入る。
自分が解ける問題は人も解ける。自分が出来る事は人にも出来る。跡部でなくても誰にもそこそこ見られる事ではあるけれど、それが跡部となると跡部自身が色々規格外なので、同列に見做される方は堪ったものじゃない。

「芥川君が可哀想だよっ!皆が跡部君みたいに古典の基本を分かってるわけじゃないんだからねっ!」
「一般常識だろ、それは。」
「常識じゃありませんっ。芥川君、苦手ならテキストは後で良いから、先ずは基本の単語と文法から、」

「ZZZZZ・・・・・」

「・・・・・」
「・・・はあ。」

王は深ーい溜息を吐きになった。






「や、桐生さん。」
「あ!滝君来てくれたんだ、有難うっ!」

かけられた声に、今度は誰ですと思いながら顔を上げると、涼しい顔をした滝が居た。

「どういたしまして。でも、見てたら普通に桐生さん達だけで回ってるし、俺が居なくても良かったんじゃない?やるねー。」
「そんな事ないよ!回ってるのは、やっぱり皆の間である程度の教え合いが出来てるからこそだし・・・滝君が居てくれて心強いよっ!」
「そう?なら良いんだけど。」

そう言って和やかに笑う滝はどことなく上品で、やっぱりオーラがあるなあ・・・と可憐は思ってしまう。

「・・・滝君って、苦手な科目とかあるの?」
「うん?どうしたの突然?」
「忍足君や跡部君もそうだけど、なんだか滝君って苦手科目とか無くて、なんでもすいすいやっちゃう感じがするんだっ。」
「とんだ偏見だねー。あるよ、俺にだって苦手な科目。」
「本当っ?何々?」
「秘密♪」
「えーっ!」
「因みに、景吾君は苦手科目は無いから、聞いても無駄だよ。」
「あ、それは分かるっ。イメージ通り!」

勉強に限らないが、跡部が何かに向かって苦手だとか思い悩んでる図がそもそも非現実的である。
出来ないなら出来るようになるまでだ、かかってこい!がスタンスの我らが部長様だから。

「おい、俺様の声が聞こえた気がしたが、何の話だ?」
「「何にもー。」」