Set conditions - 7/8



(ううう・・・・)

試合が始まってから15分。
可憐は段々しんどくなってきた。


「はあ・・・はあ・・・おりゃあっ!」
「フッ!」
「はあ、はあ・・・・!」


(桃崎君、苦しそう・・・)

2週間前から始めたばかりというのは、純然たる事実だったらしい。
もう、地力の差が火を見るより明らか過ぎて、見て居て気の毒になってくる。

「はっ!」

(忍足君、上手い!ドロップショット!)

「はあ、はあ、うあっ・・・!」

「ああっ!も、桃崎君っ!」

後ろに下がっていた桃崎は、忍足のドロップをなんとか返そうとした。
しかし疲労困憊した両足は言う事を聞かず、前へ出ようとして縺れた挙句にとうとう桃崎は転んで倒れてしまった。

「あでででで・・・」
「ふ、40-0・・・桃崎君、大丈夫っ!」
「来んで良い!」

立ち上がりかけた可憐はビクリと肩を震わせた。

「はあ・・・ごめんな、親切に有難うな・・・。でも、俺は大丈夫や・・・まだやれる、まだやれるねん・・・!」

そう言う桃崎の両の膝小僧からは血が流れている。

ラケットを杖の代わりにして立とうとする桃崎の元に、忍足は自陣のコートから出てそっと手を差し出した。

「もう止めや。」
「は?」
「今回は終いにしよ。立てるか・・・」
「ふざけんな!」

桃崎は忍足の手を払いのけた。

「まだ負けてへんやろ!俺はまだ・・・」
「桃崎。お前何しに来たんか忘れてへん?」
「はあ・・・!?」
「こんな所で怪我しもって、無理矢理テニスする為に来たんか?ちゃうやん、お前の目標は跡部を負かす事やろ。」
「・・・・・」

桃崎は黙った。

(やっぱり、跡部君に勝つのが目標って言うのはその通りなんだ・・・)

「分かったら、今日はもうこれで終いにしい。」
「・・・・くそ!」
「桃崎君・・・」

コートを叩いても、手に新たな傷が増えるばかりである。
あまりにも痛々しい姿に、可憐は少し涙が込み上げた。

「・・・ごめんな、2人共。いきなり付き合わせてしもうて。」
「構わへんて。」
「全然気にしてないよっ!こっちの事は良いから、自分の事を考えて!」
「・・・桐生さんは、めっちゃええ子やなあ。」
「へっ!?」
「口説くんは止めてんか。」
「2人共何言ってるのっ!?」

「・・・はははっ。」

慌てる可憐に、桃崎は会ってから初めて笑ってみせた。