Unearned win 1 - 4/7


丸井と桑原、仁王は集合場所へ赴く。
道々、軽い会話をしながら。

「あそこまで期待が膨らんどって、オーダーに幸村が入ってなかったらどうなるかのう。」
「そんな事あるか?幸村君が1番強いのは皆分かってんだろい?」
「じゃき、敢えて温存しておくとかそういう作戦を取る事もありうるぜよ。そうでなくても真田も柳も居るし、地区予選の初戦じゃしな。」
「んー、そう言われるとそうかもしんねえけどよ。」
「・・・・・・」
「・・・ジャッカル?」
「ん?ああ、え?何だ?」
「何だはこっちだぜ。どうした、ボーっとして?腹でも痛えの?」
「手洗いはあっちナリ。」
「違う!」
「じゃあ何?」
「いや、ちょっとな。・・・今、どうでも良い事だから。」
「今っちゅう事は、その内どうでも良くなくなるんか。」
「お前は本当に耳聡いな・・・」
「で、結局何だよ?」
「良いんだよ、その内で。その内だ、その内。」

桑原が考えて居た事。
それはテニスの事ではなくて、さっきの紫希と丸井の楽しそうにひそひそ話している光景の方だった。
大概皆微笑ましさと面白さを足して2で割ったような目で、煽ったり茶化したりしているけれど、桑原はどうもそんな気になれない。

丸井ブン太という少年がどんな性格だか、桑原はよくよく知っているからだ。

「・・・・はあ。」

杞憂であれば良いのだが、多分杞憂では終わらないだろう。
今言った「その内」が来た時に、面倒な事になりませんようにと桑原は願った。