Why is that 1 - 7/7


「見ないのね。」
「ん?」
「け・い・た・い。そろそろ、遅いなーなんて思って気にする頃かと思うんだけど?」

忍足と網代は、2人ベンチに座って昼食を食べていた。

しかしそろそろ食べ終わるという頃になっても、2人から連絡が来ない。網代とは食べる約束をしていたし、可憐の性格からして戻ってきたら一言ある筈なのだが。

「まあ、遅いのは気になるけど宍戸もおるんやし大丈夫やろ。弁当迷ってるとか、他校の選手とバッタリ会って話し込んでるとかとちゃう。」
「・・・そう。」
「?」
「ふふふっ。なんでも?」
「茉奈花ちゃんがなんでも言う時は何かある時やからな。」
「まあまあ、秘密の多い女の子は可愛いものだから見逃して頂戴?」

そう言って網代はパチンと、可愛いウインクを飛ばす。
敵わんなあ、なんて思いながら忍足がそれを見つめていると。


「あのう。」


細くて高めな女子の声に、忍足と網代が其方を向くと、全然知らない女の子が1人此方を見ていた。

「氷帝学園テニス部、の、人ですよね?」
「せやけど。」
「そうよ。貴方は・・・」

その制服には見覚えがある。

「貴方も氷帝学園ね?幼稚舎の子でしょう。」
「分かるん?」
「分かるわよ。氷帝幼稚舎の制服は、この近辺じゃ可愛いって有名だもの。私、網代茉奈花。氷帝のマネージャーよ。こっちは忍足侑士君。選手ね。」
「宜しゅうな。」
「はい。私は、神宮詩織と言います。網代先輩の言う通り、幼稚舎に通ってます。宜しくお願いします。」

神宮はペコリと行儀良く頭を下げた。

「さて、ご用件は何かしら?試合を見に来たの?」
「はい。でも、何処でやってるのか分からなくて・・・」
「ああ、そういう事かいな。」
「なら、先ず此処を真っ直ぐ行くの。2つ目の角を右に曲がって、後は道なりよ。」
「有難う御座います。」
「テニスに興味あるん?」

スクールでやってるとか、部活でやってるとかだろうか。
忍足はなんの気無しに聞いただけだったのだが。

「あ・・・・」

(ん?)

かああああっ、と音がしそうな勢いで真っ赤になる神宮。

(ああ、そっちか・・・)
(あら、悪い事聞いちゃったわね。)

「まあ、あまり心配しなくても迷うような道じゃないから大丈夫と思うわ。」
「気いつけて行きや。」
「は、はいっ!有難う御座いました!」

たたた・・・と駆けて行く神宮の後ろ姿を、忍足と網代は見送った。

「・・・誰目当てやろか。」
「うーん、まあ筆頭株は跡部君よね、やっぱり。」
「せやな。後は俺らと同じ学年の誰かが比較的可能性高いやろか。」
「そうね。もしくは・・・」
「もしくは?」

「その子がゆくゆくは氷帝テニス部に入る予定だから、今から自分も先んじてお勉強。とか、そういう可能性はないかしら?」

「マネージャーとかにもなるつもりなんやろか。」
「ああ、あり得るわね。」
「ま、いずれにしろ健気やな。」
「健気な子はお好き?」

網代が忍足の顔を覗き込むように言った。

「嫌いやあらへんよ。」
「ふ~ん、そうなんだ?」
「やけど、強かで隙の無い子の方が好きやわ。」
「おっと、どういう意味かしら?」
「さあ?」

含み笑いをする忍足。
強かで隙が無いのはそっちじゃないの、と網代は思って、ちょっと箸を握る力が強くなった。