Why is that 2 - 6/8


宍戸が連絡をした直後、女子トイレに来たのは近所のゴルフ同好会の奥様達だった。
彼女らは頭を押さえる可憐とタオルを冷やしている宍戸に何があったか大凡の事を瞬時に悟り、氷帝の部員が来るまでついて居てくれた。

「う、ひっく、う、う、」
「よしよし、もう泣かなくて良いわよ。」
「痛かったわね、可哀そうに。」

「貴方達は、どういう目的で此処に来たの?親御さんは居る?子供だけ?」
「ええと、俺達部活の大会で、」

「結構強く打ったみたいね・・・」
「そうね、救急車を呼ぶべきかしら?」

部位は気になるが、経緯から考えて1分1秒を争う程の緊急性は無さそうだから、
居るのなら責任者が居る状態で病院なりに連れて行きたい所だが・・・と話が纏まりかけた頃、待ちに待った氷帝からの人間が来た。

「可憐ちゃん!」

忍足の声に、可憐は顔をそっと上げた。
後ろに、跡部と網代の姿も見える。

「可憐ちゃん!」
「忍足君・・・」
「見せてみ!」

タオルを取っただけで痛みに顔を顰める可憐が痛々しい。

「眩暈はするか?」
「ううん・・・」
「首は痛ない?」
「うん・・・」
「打ったんは此処だけか?よろけて、他の所ぶつけた覚えはあらへん?」
「尻餅ついただけ・・・」

「すみません、お世話をかけまして。」
「いえ、別に私達は良いけれど・・・」
「ねえ。頭だし、気を付けてあげた方が良いわよ?」
「先生は居ないの?」
「ええ、生憎今日は不在でして・・・」

「おい、ガキを探しに行ったことろまでは聞いたが、それがどうしてこうなるんだ。」
「いやそれが・・・そいつ、女子トイレに逃げて、俺は入れねえから桐生が説得してくれてたんだけどよ。」
「失敗したのか。」
「途中まで普通だったんだ!でも、クラスメイトも見に来てる、って教えたら急に邪魔がどうとかって苛立ちだして、」

その宍戸の説明に、忍足と網代の表情が固まる。

それだ。
賭けても良い、それが原因である。
可憐はそれと知らぬ間に、木崎の急所を突いてしまったのだ。

「・・・網代、訳知り顔じゃねえか。アーン?」
「・・・後で話すわ。取り敢えず原因の方は分かったから、侑士君。可憐ちゃんを病院に。」

「おん。行こ、可憐ちゃん。」
「えっ、良いよ・・・」
「あかん。」
「本当だよ、痛いけどたんこぶ出来ただけ・・・・」

「あかん!」

忍足の大声に、全員の呼吸が止まった。

「・・・頭は怖いねん。たんこぶ出来てたら大丈夫とかそういう都市伝説もあるけど、あんなん迷信や。ちゃんと診て貰わな。」
「・・・はい。」
「此処からだとどの病院が近いかしら?」
「九瀬(ここのせ)大学附属総合病院やな。」

「・・・・・・」

「詳しいわね。」
「まあちょっとな。救急車呼ぶより、タクシーの方が早いわ。ほなら跡部、俺可憐ちゃんと・・・跡部?」
「跡部君・・・?」
「・・・いや、なんでもない。兎に角、お前らは行って来い。後の事はこっちで何とかする。」
「分かった。」
「な、なんか大事にっ・・・!」
「しょうがないのよ、可憐ちゃん。忍足君も言ってたけれど、他の所なら兎も角頭周りは何があるか分からないんだから、ね?」

こうして可憐は1回戦以外見ることなく、病院へと向かう事になった。