Unexpected - 1/5



「それで怪我したの、可憐!?」
「あ、あははっ!いやあ、その、ねっ?」
「ねっ?じゃナイしー!」
「災難だったね~。」

土日が明けたと思ったら、額にガーゼを当てて登校してきた可憐を伊丹達は囲んで心配する。

生傷、打ち身が日常茶飯事のドジっ子可憐とはいえ、此処までの怪我はあまり見ない。
しかも頭。

「病院は?行ったの?」
「うんっ。多分なんとも無いだろうって。皆一応って言うから、明日CT撮りに行くけど・・・」
「過保護か・・・って言いたいケド、たんこぶ出来てるくらいだもんねー。」
「痛そ~。」

念の為、体育は暫く休まねばならない。
補修が痛い所ではあるが。

「で、結局謝って貰ったの?」

伊丹の言葉に、可憐は力なく首を横に振った。

「・・・ううん。」
「はあ?なんで!?」
「幼稚舎なんでしょ~?所在は分かってるんだし、どうして~?」

そう。
所在は分かっている。

氷帝学園の幼稚舎にいる事どころか、フルネームも顔も分かっているから、探し出して謝れ!という事だってしようと思えば出来るのだ。

ただ。

「・・・ねえ、皆。」
「「「?」」」

「恋って、どういうものかな?」

木崎は我儘な性格である。
それは分かるが、ああも爆発し易かったのは、先日の状況に置いては木崎の片思いが主な原因であろう。

神宮はそれこそ目の上のたんこぶ的存在であり、いつも煮え湯を飲まされていると木崎は思っている。

ただでさえ遅れを取っていると感じている状態で、可憐はもう既に神宮が見学している事をーー言うなれば、木崎にとって敵がリードしていると告げられたような気持ちになったわけだ。

ただでさえ狭い木崎の視野を更に狭めているのは、件の恋心である。

「え、何急に。」
「可憐、恋してるの~?」
「わ、私じゃないよっ!?でも、ちょっと今回の件が、なんか三角関係が原因みたいな所があって・・・」
「ああ、そういう事。」
「うーん、でもショウジキ言ってさあ?」
「説得力無いよね~。私達彼氏居ないし~。」
「朝香、抉ってくるのやめて・・・」

そう。
榎本の言う通り、此処に居る4人は4人共恋人が居ない。
だもんで、恋とはどんなものかしら?あんな感じじゃない?いやきっとこうよ。なんて言い合った所で、全ては憶測でしか無いわけだ。
実際に恋している木崎の事の参考にはならない。

「うーん・・・恋人じゃなくても良いんだけど。片思いの話でもっ。」
「カタオモイの・・・?」
「話~?」
「って言われると・・・」

伊丹、内川、榎本の視線はゆるゆると。
ゆるゆるゆるっと、可憐へと向かう。

「「「・・・・・」」」
「・・・えっ!?何っ!?なんで皆こっち見るのっ!?」
「イヤ?」
「別に?」
「な~んでも~?」
「なんでもなくないよねっ!?絶対何でもなくないよっ!!」

3人の脳裏に浮かぶのは、あの丸眼鏡をかけた関西弁の、京都から来たと言う彼奴の姿。

あんなに優秀な片思い先が居る可憐が分からないなら、多分自分達皆分からない事を、誰より可憐が分かっちゃいない。

「ねえ、皆っ!?なんなの、もうっ!」
「「「べっつにいー?」」」