Solicitation:Big fire field - 3/6


「成程。お前さんら、居らんと思っとったら、そっちに居たんか。」
「そーそー、連れてきたんだよー!ちょっと遅れちゃったけどね!」
「すみません、春日さんに五十嵐さん。朝からわざわざ付き添って頂いて。」
「いえ、そんな!こちらが呼んだ方ですので。」

「はい、注目ー!」

棗がパンパンと手を叩いた。

「歩きながらちょっと説明しよう!皆聞いといて!先ず今日集まったのは何故かと言うと、偏に柳生君ともっと仲良くなろうというのが目的でしてなw」

一行はぞろぞろ歩き出しながら、棗の話に耳を傾ける。

「それは構わんが、些か大がかりではないか?」
「真田の言う事は尤もなんだけどねw俺達的には、柳生君と友達になって、更にその上を狙いたいのよw」
「上だと?」

「柳生にテニス部に入って欲しい。で、仁王とダブルスを組んで欲しい。」

全員がサッと2人を見たが、仁王はにやっと、柳生はにっこりと微笑むばかりで、コメントしない。

「だから、今日は1日皆でテニスしながら遊んで、柳生君にYesと言わせるのが目的だw」
「それ、本人の前で言ったら駄目なんじゃないか・・・?」
「お気になさらず、桑原君。」

柳生は微笑みを絶やさず言った。

「ダブルスを組んでくれ、という誘い自体は何度も受けていますので知っていますし。それに、皆さんと遊ぶのも楽しそうだと思ったから、こうして来させて頂いてるんです。」
「ふうん?思ったより入部に前向きじゃん?」

「いえ。」

「・・・え?」
「ああ丸井君、誤解しないで下さい。皆さんと遊ぶのは掛け値なしに楽しみです。ですが、仁王君とダブルスを組みたい、と思っているかと言われると、No。ですね。今の所は。」

にーっこり笑って言う柳生だが、その後ろでは仁王がにやりと悪い笑みを浮かべている。

「ま、そんな事を言ってられるのも今の内じゃ。」
「・・・どういう意味です?」
「見ておきんしゃい。どんな手を使ってでも、絶対にYesと言わせてみせるぜよ。」

2人の間に火花が散るのを、ここに居る全員が見た気がした。

「おおう、燃えてるうー!」
「面倒くさい。まだ始まってもないのに。」
「や、やる気になってくださってるのは、有難い事ですよ・・・」

「幸村は、この事を聞いていたのか?」
「うん。部員が増えるのは喜ばしい事だし、ダブルスに幅が広がるのは、後々の事を考えても大きな+になると思ったからね。」
「成程。後は本人の意向次第というわけだな。」
「そうだね。其処を今回、俺達でどうにかするんだ。弦一郎と柳なら分かってくれてると思うけれど、責任は重大だよ。」

企画者がビードロズで当事者が仁王と柳生。
そういう構図なので錯覚しがちだが、今回の作戦に於いて誰よりメリットとデメリットが大きいのはテニス部だ。

勧誘が成功すれば、部員の人数が増えるし既存の部員の士気も上がる。
しかも仁王の意向は非常に都合が良く、今死角になっているダブルスと言う問題に対する解決にも繋がる。
だから逃がすわけにはいかないのだ。

さあ。
作戦が始まる。