Solicitation:Big fire field - 6/6


Aチーム
仁王:柳・桑原
「柳と桑原か。よろしく頼むぜよ。」
「ああ。」
「おう・・・頑張る。」
「なんじゃ、不安そうじゃな。」
「いや、あっちがな・・・」


Bチーム
柳生:幸村・真田・丸井
「幸村君に真田君に、丸井君でしたね。よろしくお願い致します。」
「ああ、よろしくね。」
「よろしく頼む。」
「ま、楽しもうぜ!」

チーム毎に会話を楽しむ一同をビードロズは眺める。


(なかなか面白い組み合わせだw)
(これどっちが強いかなー?)
(最初のゲームはあれですから・・・)
(まあね。戦力的にはトントンじゃないの。)


「なんぞ言うたか?」
「何もwさてじゃあ次のステップだwルールの説明をするぞw」

千百合がホワイトボードに大きめの紙を貼る。

「第1ゲームはー・・・ストラックアウト!だー!」

紀伊梨が高らかに叫んだ。

ストラックアウト。
所謂、九つの的に向かってボールなどを投げ、パネルを弾くアレである。
要は的当てなのだが。

「ルールを説明致しますね。先ず、1~9までの数字が書かれたパネルが各チーム毎に一枚づつあります。両チーム交互に1球づつ当てて貰いまして、全部のパネルが弾かれましたら、其処で1ポイント。3ポイント先取制で勝者が決まります。」
「つまり、最短でも9×3で、27球はちゃんと当てなければいけないわけだね?」
「ええ、そうなります。引き分けになった場合・・・つまり、3ポイント取得のタイミングが同時だった場合、新しいパネルを用意します。其処から先は、どちらかが1球でも外した時点でそちらの負けが確定します。」
「外したら敗北・・・うむ、なかなか潔いな。」
「ま、実際は時間の話もあるけど。」
「まだまだ最初のゲームだかんね!」

そう、これはまだ序盤なのだ。
あんまり此処にばかり時間と労力を割くわけにもいかない。

「次に細かいルールです。如何なる場合がパネルを弾いたとみなされるかどうかですが・・・」
「見做されるも何も、落ちたら弾いた事になるんじゃねえの?」

丸井の発言に棗が、にやあ・・・と笑った。
甘い。発想が甘いぞ丸井ブン太。

「パネルが落ちたらそこの馬鹿がくじをPCで引くから。」
「「「「「「「くじ・・・?」」」」」」」
「お題が出て来るから、それをクリアしてね!出来たら、パネルが落ちるよ!」

ちょっと待て。

「おい、それって所謂・・・」
「まあ罰ゲーム的な物よw」
「・・・念の為に聞いておくが、達成できなかった場合は。」
「パネルは戻されます。当てただけでは弾いた事になりませんので・・・」
「・・・成程。」
「一筋縄ではいかなさそうじゃの。」

どんなお題が出て来るかは知らないが、今回は棗が企画側に回っている。
嫌な予感しかしない。

「質問がある方はいらっしゃいますか?」
「良いかな?」
「はい、幸村君。」
「2枚同時に落ちたりした場合は、お題を2回やるのかい?」
「いえ、あくまで1回に1枚までです。複数枚落ちた場合は、1枚戻して頂きます。」

(じゃろうな)
(でしょうね)

これはゲームと同時に親睦会を兼ねているのである。
なるべく多くの者に色んな形でお題を熟して貰うために、たった1人が幾つもスマートに片付けるような展開は避けたいのだ。

「他には?」
「落とせなかった場合は?つまり、外したりした時に。」
「その場合は、お題だけ熟して頂きます。達成できたらそのままですが、出来なければパネルが1枚戻ります。」

「おい・・・先から黙って聞いていれば、まるで俺達に罰ゲームをやらせる為のゲームのようではないか!」
「そうだよwその通りだよw」
「なんだと!?」
「だって、その方が早く仲良くなれるっしょー?」

人間、行儀の良い所ばかり見ていても仲良くはなれない。
いうなればこれは強制恥かきマシーンの様な物で、抜けてる所とか情けない所を洗い出して、打ち解けて貰う役目があるのだ。

「他にない?無いなら、今度はドラフトやるわよ。」
「ドラフト?」
「今ルールは聞いたっしょw

それを踏まえて、ビードロズ女子3人の誰をチームに入れるか選んでねw」

そういう事か。

「人数的に、俺のチームは2人取れるわけじゃな。」
「そうねw指名が被ったらじゃんけんよw」

これは戦略性が要求される。
部員達はくじなので運頼みだが、女子勢はルールを聞いた上で取りたい人間を選べるのである。
向き、不向き。得手、不得手。チーム内に居る部員勢とのコンビネーションも踏まえて考えるとなると。

(・・・私は少々不利ですね。)

なんせ柳生は、誰の事も良くは知らないのである。
なんとなく性格は分かるが、それまで。
仁王の持っているデータと比べると、比較にならない。

「さwドラフトだw誰を選ぶか決めた?」
「ちょいとええかの。」
「はい仁王w」

「柳生。譲るきに、先に決めんしゃい。」

「ぶふっw」
「ふふ、ふふふふっ。」
「なっちんとゆっきー、どーして笑ってるのー?」

どうしてって、仁王があまりにも本気だからである。

先に譲る事によって、柳生の出方を見るーーーつまり、柳生のデータが欲しいのだ。
例え先に選べると言うデメリットを差し引いても、柳生を優先する。
相手を知りたい。


最後に勝つ為にだ。


そのガチぶりに、棗と幸村は笑いがこみあげてくるのである。

しかし、柳生も黙ってやられている男ではない。
棗と幸村が気づいたように、柳生もまた気がついている。

(誘いに乗っても、メリットはあります。選択権はこちらにあるわけですからね。しかし・・・)

面白くない。
そんな安直な考えでは、仁王に勝てない。

「・・・本当によろしいので?」
「ああ。好きに選びんしゃい。」
「そうですか。では、お言葉に甘えて。」

(乗ってきたか。)

さて。
じゃあ見させて貰おうかな、と仁王が思った時だった。

「では、僭越ながら選ばせて頂く権利を得たわけですが。」
「はいw誰でもどうぞw」
「ですが、女性を選ぶと言うのは失礼ではありませんか?」

は?
と何人かの口から零れる、呆気の声。

「どうにも気が進まないのですよ、紳士としましては。まあ、いずれは選ばねばならないとしても、のっけからというのは少し。」
「いやいやいやwえ?仁王に譲るって事?」

「いえ、彼女達に決めて頂くのはどうかと思いまして。」

(・・・・!)

仁王は珍しく目を見開いた。

「えー?どゆ事ー?どーしたら良いのー?」
「お一人づつ、話してみて下さい。仁王君のチームと私のチーム。どちらに入りたいか。」

「これは良いのか・・・?」
「黒崎が止めない所を見ると、これも想定の範囲内なのだろう。良いんじゃないか。」

「成程。柳生の提案は、なかなか面白いね。」
「確かに、一方的に選ぶと言うのは些か不公平だ。柳生の言う通りだな!」
(黒崎が幸村君選ぶか真田避けるかどっちかなー。)

(・・・そう来たか。)

これなら自分の手の内をあまり明かさず、ビードロズ3人の人となりを多少知る事が出来る。
デメリットが無く、メリットはいっぱいの一手だ。
流石自分の見込んだ男。

「うーん、なら私ニオニオのチームが良いなー!」
「ほう。それは何故です?」
「だってやーぎゅのチーム、失敗したら真田っちに怒られそーだもん!」
「なんだその理由は!たるんどる!」
「弦一郎、今怒ると五十嵐の意見の肯定になるよ。」

紀伊梨としては、あくまでゲームなんだから楽しく、というのがある。
失敗した時、ちゃんとやらんか!と都度都度怒られそうな事態は避けたい。

「成程。黒崎さんは如何です?」
「私どっちでも。」
「強いて言うなら、で構いませんから。」
「えー・・・なら、あんたのチーム。」
「ほう。理由は?」
「紀伊梨と仁王の揃ったチームとか絶対面倒くさい。あんたんとこ入ったら避けられるじゃん。」
「ちょっとー!どーいう意味すか千百合っちー!」
「つまり、五十嵐をそっちのチームに押し付けて、春日を取ったら考えてくれるんじゃな?」
「そっちもどーいう意味!?もー!皆して紀伊梨ちゃんの扱い酷いよー!」

そうは言うが実際の所、今回のゲームに於いて、欲しい人をせーので指差すガチのドラフトをやるなら、紀伊梨は真っ先に売り切れる。
運動神経はピカイチな上に、一番恥の概念に乏しいので、罰ゲームのクリア率も高い事が予想されるからだ。

紀伊梨を取れれば優勢に立てる。
エース故に仁王も柳生も、表だって欲しいとは言えない状況なのである。

千百合は有り余る+と有り余る-を補って0という所だろう。
なんでもそつなくこなせるから、罰ゲームはさておきパネルを弾く所までは出来るはずだ。

1番向いていないのは無論。

「春日さんは如何ですか?」
「棗君に譲って、審判に回りたいです・・・」
「こらw」
「だって下手なんですよ、上手く出来なくて足を引っ張るから・・・!」

当てるのもゲームもダメダメだろうと皆が思うのが紫希である。
運動は苦手だし、大人しくて恥ずかしがり屋で、およそ向いてない要素しか見当たらない。

「ゲームの得意不得意は、後にしましょう。ご希望としてはどこか、を教えて頂きたいのですが。」
「・・・それなら、柳生君のチームで・・・」
「理由の方は?」
「幸村君と真田君は特にテニスがお上手なので・・・チームバランス的には私が一緒になった方が、と・・・」
「ふむ。成程、有難う御座います。」

(彼女はおそらく、ジョーカーなのでしょうね。)

3人の内誰より、紫希がこの手の事に向いていないのは確定的に明らかである。

ただ、だから単なる「使えないメンバー」扱いして良いかと言われたら、そうはいかない。
勿論これから友達になるのだからというのもあるが、スペック的に使えないからゲームでも使えないままにはならないだろう。

仁王は必ず、紫希の様な空気になりがちな人間を伏兵にしてくる。

だから安易に放置も出来ないが、同じように自分が紫希を上手く動かせそうかというと。

(・・・出来ない、でしょう。)

非常に悔しいが、リーダーとしてトリッキーな動きはまだ出来ない。
紫希を選んでも、自分じゃ伏兵に仕上げる事は不可能だろう。

だから。

「・・・では、春日さん。私のチームに如何でしょうか?」
「え?」

紫希は吃驚した顔をした後、申し訳なさそうな顔になった。

「あ、あの、私強いて言うならって言いましたけれど、紀伊梨ちゃんや千百合ちゃんの方がお上手ですからその、」
「春日さん。」
「はい・・・・」

「一緒に遊びましょう。折角の機会ですから。」

こんなでっかい会場貸し切って。
お金払って、テニス部勢なんて月に2日しかない休みをわざわざ差し出して。

全ては今日を、ここに居る皆で楽しむ為にだ。

なら自分も楽しんで行こう。
出来る事を精一杯やれば、結果は後からきっとついて来るさ。

「あまり、上手いだの下手だのと気にする事もありませんよ。」
「柳生君・・・」
「柳生の言う通りだよ、春日。」
「幸村君も・・・」
「もし失敗しても、俺達でカバーすれば良いんだから。」
「ああ、任せておけ。」
「真田は難しいんじゃねえ?」
「何だと!?」
「だってお前、当てる方のフォローは出来そうだけど罰ゲームは出来んのかよ?」
「たるんどる!罰ゲームごときに怯む俺ではないわ!」



「紫希があっちだから、私こっちね。よろしく、柳に桑原。」
「よろしく頼む。」
「ああ、よろしく。」
「そう露骨に無視されるといっそ清々しいのう。」
「千百合っちー!こっち向いてよー!紀伊梨ちゃんもニオニオも一緒のチームなんだから、もっと仲間意識が大事ですよ仲間意識が!」
「そもそもあんたらを仲間と思うのが、もう嫌。」
「其処まで!?」
「まあ、黒崎も其処まで言うなよ・・・五十嵐、よろしくな?」
「桑ちゃーん!此処に私の味方は桑ちゃんとやなぎーだけだよ!よろしく!」
「俺はお前の味方になった記憶は無いが。」
「やなぎー!?」
「それはさておき。」
「さておかないでくれない!?ねー!ねーってばー!」
「あー煩い。」
「なにおー!もー怒ったぞー、そんなつれない千百合っちにはこうだー!」
「重い!乗るな!」
「話の続きだが。なんだかんだ、それ程悪いチームではないんじゃないか、リーダー?」
「プリッ。まあな。幸村と真田が向こうに居る事を踏まえても、スペックでそれほど不利とは思わん。後は単純に・・・」
「・・・単純に?」
「ピヨ。」
「言いなさいよ。」

心の削り合いだ。
とは、仁王は言わないでおいて「あげた」のだった。