2回戦が終わったのでこの後は昼食である。
しかしその前に風呂だ。ペンキを落とさなければいけない。
3つある脱衣室付シャワーブースを、男女比から考えて2つは男子1つは女子で、交代で使う。
皆各々じゃんけんをして、偶々1番になって先に出てきた紫希だったが。
「・・・・あの。」
「ん?」
「何をなさってるんです・・・?」
仁王と棗は真田と柳の前で並んで正座していた。
「これは見張りだ!」
「見張り?」
「ああ。皆が風呂に入っている間にカメラなど起動しないとも限らないからな。こうして両手が見えて、且つ動けない姿勢で居て貰っていると言うわけだ。」
あのストラックアウトを経た結果、この2人は信用がおけないという結論が男子の間で出たのであった。
「紫希助けてくれ・・・擁護してくれ・・・」
「え、ええと・・・」
「春日、気にしないで良いって。こんくらいは当然だろい。」
「お前さん達は俺達が女子の風呂を覗くような奴に見えるんか?」
「女子でなければ覗いても良いだろう・・・という発想に走りそうだからこその警戒ですよ、仁王君?」
此処に居る皆、仁王や棗に向かって女子の入浴シーンを見たがるような変態だとは思っていない。
でも、損得勘定や打算は得意な事をよーく知っている。
だから例えば、湯上り直後の幸村の写真を撮ってそれを何かに使うくらいの事はやりかねない。
「あ、あの、流石にもう少し信じても良いのでは・・・2人共、本当に人が嫌がる事はしませんよ、きっと・・・」
「甘い!」
「ひいっ!」
「お前は簡単に人を許し過ぎるぞ!そうやって甘やかす事は本人の為にもならん!此奴らの事を思うなればこそこういう場面では厳しく、」
「まーまー、良いから良いから。」
「良くないだろう!今後の事を考えて、」
「先に髪拭かせてやれって言ってんの。風邪引いちまうだろい?」
「む・・・」
(ブンブン君は鮮やかだなあw)
こういう流し方が、幸村や丸井には出来て千百合が出来ない所である。
「どうしたんだい、真田?大声を出して。」
シャワーを終えた幸村と桑原が帰ってきた。
「幸村、桑原。」
「ええと、少し、あのう・・・」
「?・・・ああ。ふふっ。見張られてるね、2人共。」
そう言いつつもにこにこ顔を崩さない幸村は、やはり内心多少は「まあこのくらいはしょうがないよね」と思っている。
「幸村お前やっぱり怒ってるっしょ・・・」
「いやだな、怒ってないと思ってたのかい?」
「・・・・・・」
「思ってたのかい?」
「思ってませんすみません・・・」
「仁王は・・・お前も少しは懲りてるのか?」
「プリッ。」
「どっちなんだよ・・・」
「此奴懲りるような性格してねえって。柳生、シャワー行こうぜ!」
「はい。では真田君に柳君、戻ってきたら交代致しますので、お先に。」
「ああ、構わない。ゆっくりしてくると良い。」
「うん。なんなら、見張りは俺一人でやるから真田と柳も寛いでくれて良いんだよ。」
「いや、お前1人に押し付けるような真似は出来ん。」
(でも実際、幸村君1人になる方が仁王君や棗君としては辛いですよね・・・)
真田と柳に見張られている時とは、胃の痛み方が段違いだろう。
真田も柳も、皆を守らないとと言う使命感や正義感から見張っているわけだが、幸村から受ける眼差しには怒りが混じるのがどうしても避けられない。
ちょっと気の毒とは思いつつ、でも擁護の方法が頑張っても出てこない事に、紫希は頭を悩ませるのだった。