Solicitation:Break time 2 - 1/6


弁当持って来いよ、とは全員言われていたので、皆昼食は各々確保している。
今日は天気も良いし、屋外で食べるかと話はトントン拍子に進み、一同は木陰の多い中庭でシートと弁当を広げていた。

「おーべんと、おーべんと、うーれしーいなー♪なーんでーもたーべまーしょ、よーく噛ーんでー♪・・・あり?」
「・・・・・・・」
「桑ちゃん?どったの?紀伊梨ちゃんの顔に何かついてる?」
「あ、い、いや?なんでも・・・」
「お前そうやって歌ってると、マジで幼稚園児だろい。」
「ブン太・・・!」

なんでこの友人はそうやって、自分が触れないでおこうと思った事にいとも容易く触れるんだろうか。

「ブンブン~~?誰が幼稚園児ですかー!」
「気の毒だが、桑原も同じ事を思っていた確率91.1%だ。」
「桑ちゃんまで!?ひどいー!なんなの皆してー!」
「いや、あの、その!すまん・・・」
「そこで謝んのがジャッカルだよなー。」

丸井的には、何故この友人がこう頑なに「適当に誤魔化す」という手段を取らないのだろうかと不思議で仕方がない。
こういう所はお互いにどっちもどっちだったりする。




「へえ。」
「?なんでしょうか、黒崎さん。」
「いや。此処でサンドイッチ持ち出してくる発想の奴に初めて会ったな、ってだけ。」

そう、周りが弁当箱を広げたりしている中で、柳生はただ一人バスケットを広げていた。

「そうですか?これも立派な昼食ですが。」
「いや、立派な昼食とは思うわよ。ただ弁当って言うよりはこう、ピクニックとかのイメージが強くてさ。日常的じゃないというか。」
「ああ、そういう事ですか。」
「確かに、弁当持って来いと言われて自家製のサンドイッチを持参する奴はなかなか見んのう。」
「柳生家では弁当をと言われると、パンと白米は大体半々くらいの割合ですね。」
「ふーん。お洒落ねえ、あんたんとこは・・・」
「何が言いたいんじゃ、黒崎。」
「いや別に。」

仁王の弁当は・・・というか昼食は、コンビニの惣菜パンである。

「柳生に比べて気の毒と言いたいんか。」
「まあ端的に言うと。」
「はっきり言う奴じゃき。」
「仁王君のお母様は、料理などあまりされないのですか?」
「いや、寧ろ弁当を頼んだら何時も大喜びで、手の込んだ物を作ってくれるぜよ。」
「なのに頼まないの?」
「おかずのどれかは、必ずデスソース入りじゃからな。」
「「・・・・・」」
「見えてる地雷を踏む趣味は無いダニ、何時も自分で買うとるんじゃ。」

今後友達付き合いが続くとしても、仁王家には立ち入るまい。
千百合と柳生は心に誓った。見えている地雷を踏む趣味が無いのは2人も同じである。




「・・・・・・・」

紫希はむぐ、むぐ、と食べにくそうに箸を進めていた。

「春日、どうした?」
「え?」
「如何にも食が進まんという風だ。具合が悪いのか?」
「あ、いえ!そんな事は全く!」
「ふふふっ。」
「「?」」
「春日はもう少し、ポーカーフェイスの練習をした方が良いかもしれないな。」
「えっ、」

にこにこと穏やかな眼差しで紫希を見つめる幸村は、具合が悪いのかとかそういう心配を一切していない。
分かっているのだ、何故紫希の食欲が減退しているのか。

「どういう事だ?」
「春日は、次の競技の心配をしているんだよ。」
「次の競技だと?」
「そう。春日が不安そうという事は、種目はどうあれ飛んだり跳ねたり、運動が主軸になるのは間違いないね。」

バレている。
一生懸命何でもないフリをしていたのだが、そんなのこの神の子様の前では無駄無駄無駄。

「でも春日、始まっても居ない内からあまり心配ばかりしていても始まらないよ。」
「うう・・・」
「幸村の言う通りだ。寧ろ苦手な事が待ち構えていると言うのなら、それに備えてきちんと食っておかんか。」
「あう、はい・・・」

正直食べるのが辛いが、真田の言う事は正論である。