Solicitation:Break time 2 - 3/6


おおいに相談してね、と言われた直後。
口火を切ったのは仁王だった。

「はっきり言うとくが。」
「・・・なんでしょう?」
「俺は別に、誰がチームメイトでも構わん。五十嵐は馬鹿で、黒崎と春日は鋏じゃき。」
「馬鹿!?ちょっと待って、馬鹿呼ばわりもアレだけど、なんで紀伊梨ちゃん今いきなりdisられたの!?」
「馬鹿と鋏は使いよう。つまりお前達3人の誰でも、活かし方次第で幾らでも強力な味方に出来る、と仁王は思っているわけだ。」

運動能力でゴリゴリ押して圧死させる。
なんて、そんなの不細工な勝ち方じゃないか。

「ただ。」
「ただ?」
「誰でも良いが、人数には希望がある。2人欲しい。」

勿論男子のチームメイトが決まっていないので、2人貰っても目論見通り行くかは分からない。
ただ、闇雲に決めるよりは大雑把でもいいから叩きになる作戦があった方が楽だ。

と思ったのだが。

「奇遇ですね。私もお二方頂ければと思っていた所です。」

きらりと光る柳生の眼鏡。
仁王は舌打ちすべきか喜ぶべきか迷った。

多分、今お互いに同じような事を考えている。結論が違うだけで、基本的に思考レベルは同じなのである。
もう見れば見る程ダブルスパートナーとしては最適じゃないか?と思うけれど、同時に出しぬきにくくもあるので、こういう時はちょっと面倒。

「譲ってくれる気は?」
「まさか、あるとお思いではありませんよね?此処は譲るポイントではありませんよ。」

バチ、と火花が散っているのが見えるようである。

「じゃーどーするのー?じゃんけんとかするー?」
「じゃんけんで決めるようなもんでもないだろい。」
「いや、案外悪くないかもしれないよ、じゃんけん。」
「おー!ゆっきーもそー思いますか!」
「マジ!?」

「まあ少々乱暴な言い方になるが、結局は運否天賦に任せる事になる。それなら最初から深く考えるだけ無駄、という見方も出来るな。」
「極端な言い方すればそうかもだけどさ。」
「しかし逆に言えば、ある程度どのようなチーム分けになっても対応の出来る策の立案が、今求められてるのではないか?」
「確かに真田の言う通りだが、その結果が現状の主張のぶつかり合いなのだろう。その立案が被っている以上、どうしようもない。」

「となると、やっぱりじゃんけんは角が立たなくて良いんでしょうか・・・」
「恨みっこ無しよ、が通るっていうのは大きいかもな。思い通りにいかなかった方も、諦めがつきやすいだろうし。」

桑原の言う事は正論である。
正論であるが、思い通りにいかないから諦めようとか、そういう思考が殊仁王と柳生にあるかと言われると。

「紳士を名乗るなら紳士らしく、懐の深い所を見せたらどうじゃ?」
「生憎ですが、今の仁王君と私は敵同士。競争相手に不要に器の大きさを見せるような愚直な真似は致しませんよ。」
「ほう?えらく余裕が無いのう。実は内心焦ってるんじゃなか。」
「そうやって私から譲歩を引き出そうとする、その態度こそが其方にこそ余裕の無い証拠ですよ。イリュージョニストの名が泣きますね。」

「紫希ぴょん、ぐちょくってなーに?」
「愚かな程に素直、と書いて愚直です。非常に健気で一途、という褒め言葉にも使われますが、状況が把握出来ていない、応用が効かず頭が悪いという悪い意味でも使われます。」
「紀伊梨の事じゃん。」
「ちょっと千百合っちー!?それ良い意味だよね、そーだよね!?」

喧嘩腰なのを隠そうともしない仁王と柳生。
思考が似てるから、意地の張り所も似てしまうのは、真田と千百合にも言えるかもしれない。

「・・・埒があかんな。」
「ですね。妥協点を探らない事には、話は進まないでしょう。」

「それなら、折角昼食なんだし今の内にお互いに3人を勧誘したらどうだい?」

幸村が間に入って言った。

「それで、最終的には3人に選んで貰えば良い。どちら側のチームに入りたいかをね。」
「わ、私達が選ぶんですか?」
「春日には気の毒だけど、仁王と柳生としてはそれが1番良いんじゃないかな。もし選ばれなかったとしても、それは自分の実力不足なわけだから諦めがつきやすい筈だよ。」

こういうのをおそらく鶴の一声と言うのであろう。
仁王と柳生の性格を踏まえつつ、事態を動かす幸村のリーダーシップである。

「了解したぜよ。」
「ええ、そのように致しましょう。」