Solicitation:3rd game 2 - 4/5


ふ・・・ふ・・・と部屋に荒い息が落ちる。

此処は小パーティールーム。
2つの部屋を開閉可能な間仕切りで繋ぐこの部屋は、現在は間仕切りが退けられ1部屋になっている。

この部屋に入ってすぐ、入口のドアを背にして紫希は座り込んでいた。

「はあ・・・・」

仁王から逃げろと言われ、何処へ逃げようかと思った矢先、紫希が選んだのは此処だった。
此処は、仁王から本当に拙くなったとき緊急避難に使えと、ゲーム中携帯で連絡が入った場所。

(どうしよう・・・仁王君も捕まってしまいました・・・)

これで後2人。
自分の他には丸井だけ。

そして此処にもずっと居るわけにいかないのだ。
どうにかして助け出さなければ。

BBBBBBB

(携帯?)

内ポケットで携帯が振動する。
発信者仁王。

LINEを確認する紫希は目を見開いた。

「・・・!」

そんな。
そんな事出来るのか。

いや、状況的に可能だとしても自分は。
自分は・・・

(・・・い、いえ、やらないと・・・言う通りにしないと皆が・・・)

負けてしまう。
ならやるしかない。

(と・・・兎に角、先ずは此処から出ませんと・・・)

此処は3階。
館は3階建だから、先ずは3階に行かなければならない。

「・・・・・」

紫希はそっと扉を開けた。
階段は斜め右向こう。

もう同じ轍は踏まないようにしなければいけない。

(階段には誰も居ません・・・後は周りに誰も居なければ、そのまま上がってしまって・・・)

もし。
もしも上がった先に誰か居たら、根性で振り切るしかない。
3階に辿りつけば、ゴールは近い筈なのだ。

多分。

(よし、行きましょう!)

そうして扉から出た瞬間だった。


「見付けたよ。」


「・・・!」

廊下の向こう。
幸村が居る。

(すっ・・・進む!無視してしまいます!)

「あくまで逃げる気かい?」

ダッと階段を上り始める紫希。
幸村はその様子を認めて、階段に向かって廊下を走り出した。

今の段階でそこそこ距離があるとはいえ、元々の足の速さが悲しいほど違う。
3階まで上る事は出来ても、恐らく3階で捕まえられる。

(お願いです、どうか直ぐ見つかって・・・!)

渾身の力でそう願う紫希だったが。


「ーーーない・・・!」


遠くまで真っ直ぐ伸びる廊下。
この何処かにそれがある。

でも、今。
階段付近に「それ」は無い。

兎に角、廊下を進まなければいけないと思って走り出す紫希だが。

(!足音!?もう上ってきたんですか!?)

早い。
流石としか言いようがない。

直線距離で紫希に勝ち目はない。

(何処か・・・此処!この部屋に隠れましょう!)

止む無く紫希は、一番近い部屋に隠れた。




「・・・ううん。」

階段を上った幸村は、思わず苦笑した。

この館の2、3階は、廊下を挟んで両隣に部屋が配置されている。だから見通しが良く、その為紫希がどの部屋に隠れたのか丸わかりであった。

抗おうとする努力は認めるが、部屋まで絞り込めているのに見つからないわけがない。

(ただ、罠という可能性もあるね。此処は少し慎重にならないと。)

紫希の入った部屋に辿りつくと、幸村は用心深く扉を開けた。

「・・・これは酷いな。」

此処はどうも元美術品をしまっておく場所らしかった。
ただ、今はもう荒れ果てて見る影も無い。

甲冑はその辺にばらばらと転がっているし、絵画には穴が開いているし、辛うじて敷いてあるカーペットは傷だらけだ。

「さて。何処だい春日?」

幸村は本格的に捜索を開始し出した。