Solicitation:3rd game 6 - 3/6


「はあ・・・」

紫希は相変わらず食糧庫から動く事も出来ず、床にへたり込んでいた。

閉じ込められてから暫く、何処か隠れられそうな所や籠城の役に立ちそうな物が無いか調べてみたが、此処に有るのは大ぶりの棚や箱などばかりで、見付けようと思えば簡単に見つけられる所ばかり。

だからせめて、当初の作戦通り扉の死角に座っておいて、警察が来たら入れ違いで出て行く作戦を使おうと準備だけはしているが。
ただ多分失敗するだろうとは思う。
自分の身体能力では、見つからずに猫のような身のこなしでスッと、とか出来ないから。

「・・・・・うう、」

ちょっと涙が滲んできた。

どうしてこう、自分の出来る事は極端というか、運動方面になると此処まで役立たずなのだろう。
普段だってそこまで役に立っているとは思わないけど、殊こういう時の無力感と言ったらない。
泣きそうだけど、本当に泣きたいのはチームメイトの皆であろうと思うと、余計に泣けてくる。

又、皆優しいのがそれに拍車をかけて余計に泣きそう。

(丸井君も桑原君も、見つかるかもしれないのにわざわざ此処まで来てくれました・・・仁王君もそんな、大罪を犯したような顔をしなくて良いって言ってくれます。真田君なんて、ご自分は運動神経抜群で勝負事には真剣で、足手纏いの私に言いたい事が色々あるでしょうに、何も言わないでいてくれて・・・)

落ち込んでいる時に1人でずっと過ごして居ると、より深い方へと落ち込んでいく一方。

紫希も、これの大元の目的が交流である事はわかっている。
最終的に勝利するチームがどちらになるかと、柳生がテニス部に入るかどうかは全然別の話である事も。
交流目的だからこそ、出来ようと出来まいと明るく楽しく振舞うべきである事も。

しかし根が生真面目だと、どうしても自分の所為でチームが負けるという事実を小さいものとみなす事が出来なくて、気分が沈むのをどうにも出来ない。

(ああでも、結局私は助けられはしないみたいでしたから・・・それは良かったです。)

扉越しだったから丸井の声と桑原の声しか聞こえてこなかったけど、どうやら雰囲気的に紫希の救出提案を仁王は蹴ってくれたらしかった。

あれは有難い。
自分みたいな役立たずの為に他の人が動いてくれるなんて、申し訳なさすぎる。

強いて言うなら、丸井が嫌にあっさり引いたのは若干引っかかる気がしない、でもないが。

(・・・いえ、気の所為です。だって今はゲーム中ですもの。助けるなと指示が出ているのに、従わない理由なんてありませんよ。)

ここでずっと1人ぼっちというのは流石に寂しいけれど。
でも無理に助けようとしてくれるよりはずっとマシだと思う紫希は、少し落ち着いてホッと息を吐いた。