さて、一方紫希と丸井は並んでタブレットの前に立っていた。
画面に触れるとスリープモードが解除されれ、音声ガイダンスが流れ出した。
些か大きめの音量で、全員の耳にはっきりと聞こえた。
『これより、ゲームを開始します。ルールを、説明します。両チームの有志は、画面に注目して下さい。』
パッと画面が切り替わる。
紫希の画面は花束の絵。
丸井の画面は海の絵。
『今見ている絵を、スライドパズルでシャッフルします。完成すると、番号が告知されます。』
「番号・・・?」
「ま、ヒントだろい?良く分かんねえけど。」
「番号ってなーにー?次のヒントの場所が出て来るとかじゃないのー?」
「直接の場所は表示されませんね。」
「ヒントにある、待ち受ける謎、というのがこのパズルの事だな。」
「待て、でも導き手の答えって、要はブン太や春日が正解した時の、その番号の事だろ?番号が分かったとしても、何処でその番号を使うのか、って話に・・・」
「それはもう分かっている。」
柳はさらりと言って、上を指差した。
「何、あの並んだ缶。」
「よう見てしてみんしゃい。底の方じゃ。」
「・・・あれは、番号が書かれているのか!まさか上に並んでいる缶の全てに、」
「うん、番号が振られてる。正解の番号に従って缶を探し出したら、後はこれだね。」
幸村はポン、とテニスボールを放った。
『尚、パズルが難しく、解けないと思った場合は、右下に表示されるパスボタンを押して下さい。パスボタンは使用すると、難易度が変わります。より簡単なパズルを期待する場合に押してください。』
「へえ、親切だな。」
「出来ないと泥沼に嵌りますものね、パズルって・・・」
『パスボタンは、何度でも押せます。
ただし。一度押すと、凡そ2分間は画面が消え、解答権を失います。』
「「え?」」
『パズルの難易度は、3×3。4×4。5×5。6×6。7×7。の、5種類です。3×3、7×7の出現率は、それぞれ10%です。4×4、6×6の出現率は、それぞれ20%です。5×5の出現率は40%です。パスボタンを押すと難易度は変わりますが、変化はランダムです。より難しいパズルになる事もあります、注意して下さい。』
「・・・・・」
「・・・マジ?」
という事はつまり、難しいと思ってもみだりにパスは出来ない。
パスする場合は、難易度が難しい方向に変わった場合、ただ2分をドブに捨てるだけの行為になってしまう。
それを踏まえて尚パスするかどうかの選択を常に強いられつつ、パズルに取り組む。
親切でも何でもなかった。
なんという鬼畜仕様。
『外部からのアドバイスは可とします。が、パズルを操作するのは必ず1人として下さい。又、他のプレイヤーとの交代は原則不可とします。』
「これは辛うじて助かる事ですが・・・」
「状況が悪い事にはあまり変わらないな。」
「此処からじゃ何も見えないもんな・・・」
「こーたいも出来ないの!?ひどー!」
『更に、パズルに正解した後、番号を使用の際、外した場合。』
「外した場合、ってなんでしょう・・・」
「外すって言うくらいだし、何かに失敗した時の事だろい。俺達がっていうよりは、今外に残ってる側でって感じだけど。」
『その場合、正解の番号は新しく更新されます。再度パズルの解き直しから始まりますので、注意して下さい。』
「「え、」」
「は?は?」
「えげつない要求をしよるぜよ。」
「黒崎の本領発揮という所だな。」
「まあ、良い事もあるよ。これで少なくとも、何をどうしたら良いのかはほぼ確定だ。」
問題はその要求通り出来るかという事。
各々がどうなるかなこれ・・・と思いつつ、アナウンスの声がゲームの開始を告げる。
『それでは、位置について下さい。用意・・・始め。』