Solicitation:4th game 7 - 3/6


『Bチーム、正解です。番号は、34番、です。』

「よし、こっちの番号だ!」
「34はあちらだな。」

が。

「まさか、俺達が黙って見逃すなんて思っていないよね?」

(だよな・・・!)

桑原は泣きそうだが、無理からぬ事といえば無理からぬ事と思う。

Aチームはもう、2度妨害に遭っている。
ここで相手チームにあっさりクリアなんかされてみろ、悔しいなんてもんじゃないだろう事は想像に難くない。

(ねえ精市。)
(ん?)
(具体的にはどうするわけ?)

妨害するって言ったって、多分身体的な妨害ーーー即ち、拘束して動けなくする、などは恐らくルールに抵触する。

だから妨害の手段としては先程からされているように、某HU/NTE/R×HU/NTE/R的な方法。つまり、相手が缶を狙った時を逆に狙い返して妨害を仕掛ける、というのが一番の有効打である。

だが、柳と桑原はそれを見越して動かない。
わざわざ無駄に動いて隙を作る事は、幸村の前では致命的なのを分かっているのだ。

こういう所、此方は不利だなと幸村は少し苦笑する。
行動を起こさないではいられない男、真田が味方に居るから。

「・・・そうだな、取り敢えず。」
「取り敢えず?」
「ずっと試したかった事を試そう。」
「え、」

何それは、と千百合が問い返す前に、幸村は徐にトスをサッと上げて、打った。

「はっ!」

カコン、と当たって音が鳴る、54番の缶。

『Bチーム、の打球ではありません。解答は、無効。Bチームのプレイヤーは、引き続き、34番を倒してください。』

「・・・え?何?」
「どこからどこまで妨害なのか、確認したかったんだ。さっきの弦一郎が正にそうだったけど、解答チームが間違った缶に当てると、番号は更新される。」

「逆に言うと、敵チームであっても缶に当てさえすれば、間違いとみなされ不正解として処理されるのではないか、という事だな。」
「柳、良く分かるな・・・」
「分かると言うより、俺も考えていたんだ。」

そして分かった事がもう一つ。
この程度の事であれば、無意味だったなー、で済むという事。
ルール違反でペナルティ、などという事にはならない。

「つまり?」
「つまり、基本的に俺達が妨害としてやっても良い事は、あの手この手でミスを誘発する事。あくまで、Bチームの誰かが間違って他の缶に当てる、という展開にしなければいけないんだ。」

AチームでありながらBチームを装って、用もないのに間違った缶を倒す。それが出来ない事はさっき証明された。だからあくまで、相手チームの相手をせねばならないわけだ。

「じゃあ、私らあんた達が何かしないと何も出来ないじゃん。さっさと打ってよ。」
「さっさと打ってよって・・・其処まで言われてさっさと打てるかよ!」
「かといって、このまま何もしないでは居られないよ。それは分かっているだろう、柳?」
「・・・・・・」

そう、その通り。
何もしなければ負けはしないが、代わりに絶対勝てないのである。

勝つなら。
勝つ為には。

(・・・桑原。)
(柳?)

(俺が2人の相手をする。お前は缶を目指せ。)






「五十嵐さん、良いですか?決して動いてはなりませんよ。」
「ほい?」

何故動くなと言われているのか、紀伊梨はさっぱり分からないまま真田と仁王とにらめっこ状態であった。

「でも、こっちのチームのターンでしょー?」
「ええ、それはそうなのですが、だからと言って即動くとあまり良い展開にはなりません。此処は辛抱です。」

「お前さんもじゃ、真田。あっちが動くまで動くなよ。」
「解せん・・・あちらが動かないのなら、こちらから動けば良いではないか!」

(此奴はさっきのアナウンスの意味を分かっとらんな)

ゲーム慣れしている仁王と柳生は、さっきのアナウンスを聞いて、見ずとも向こうで何があったのか掴んだのだった。
Bチームの打球ではない。
という事はつまりAチーム、というか幸村が、テストとして缶に当ててみた結果である。

「大体、妨害妨害と簡単に言うが、妨害とは基本的に避けねばならん手段なのだぞ。」
「そーだよねー!やっぱり人の邪魔はしちゃいけないもんねっ!」
「そういう意味ではない。」
「ありっ?違うの?じゃーどういう意味?」
「妨害、というのは人の妨げ。人の行動に対して邪魔をするという事だ。つまり行動順としては後手になるが、これは戦では大きな遅れだ。」

先手必勝と言う有名な言葉があるように、何事も早いに越した事は無い。
運次第で偶々行動を遅らせた結果良い展開になる事もあるが、それは結果論。基本的に、行動が遅くて得する事などあまり無いとみて良い。

「???ごて?って何?」
「平仮名で喋るな!後手だ、後手!手順が後ろに回る事、引いては相手が行動してから行動する事だ!」
「ほー!」
「ほー、ではない!少しは自分で学ばんかあ!」
「覚えらんないんだもーん!」

「「・・・・・」」

真田の言う事は、ある意味では正論である。

ゲームに於いて、先手が打てると言うのは何事に対しても大きい。
そして今回のゲームはそのシステム上、先手と後手がひっくり返し辛い。
どうしたってパズルを解いたチームはボールを打たねばならないし、妨害チームはそれを受けた行動しか出来ない。

これは先攻側が圧倒的有利なゲーム。
妨害側はどうしたって動きが鈍くなり、出来る事の幅が極端に狭い。

・・・いや。

(落ち着け、黒崎はそんなゲームにする奴じゃないナリ)
(何か見落としが有る筈です。心理的盲点、今考えているこの条件を覆すような要素が何処かにーーー)

しかし、それを検討する前に事態は動き出した。

「・・・・!仁王、人影だ!」
「動き出したか。」

「おっ!あれは桑ちゃんですな!」
「援護いたしましょう、五十嵐さん。」
「おー!」