Solicitation:4th game 10 - 5/6


「これは・・・」
「蛍光塗料が塗ってあるんじゃろう。」
「キーアイテム、ですよね?」
「その可能性は高いな。失くさんようにせんといかん。」

紫希と仁王は、発光するテニスボールを所持したまま相変わらず暗闇に佇んでいた。

「じゃあ、これを持って何処か・・・ゴール的な所を目指しませんと。」
「ああ。じゃが、光っとるとはいえ、ライトの代わりにはならんな。」

依然、進むのは難しい。
紫希も仁王もライトを所持していないばかりか、周りから明かりが近づいてくる気配も無い。

「かといって、じっとしてると先手を取られる場合もあるな。」
「で、では進みませんと・・・」
「それも不細工じゃ。こうなると、一刻も早くゴールを目指す必要が出て来るぜよ。」

そう、早く行きたい。
こうなると、遅れを取りたくないという思考が働いてくる。

相手より早く。
その為には。

「やるだけはやってみるか。」
「?」
「春日、両手を出しんしゃい。」
「はい、」








「きゃあああああああっ!!」










「!」

柳は立ち止った。

今の悲鳴。

「春日か・・・」

どうした。
何があった。

いや。

(罠かどうか微妙な所だが・・・罠の可能性が幾分高いな。)

柳は、先程紫希と別れた。
あの時桑原と仁王が一緒に居たが、もし桑原が手筈通り2人を撒けたとすると、紫希は仁王と一緒に居る事になる。

となると出る結論としては自然、仁王が何がしかの狙いを踏まえて紫希を叫ばせたのだろう、という事。

(俺はライトを持っている。みすみす光源を持って行く事も無い。)

勿論、本当に事故など起きた可能性も十分ある。
あるがその場合、GMが黙っては居まい。ゲームの中断は免れないだろう。

「・・・・・・」

ちょっと足を止めて、静止してみる。

電気は点かない。
アナウンスは流れない。

アクシデント、無し。

「行くか。」

極めてメタでロジカルな推測を経て、柳は再び歩き出した。






「春日?」

幸村もまた、足を止めた。
今のは紫希の悲鳴。何かあったのだろうか。

いや。だとしても。

(結構距離がある聞こえ方だった。もし何かトラブルだったのだとしても、俺が向かってもそれ程役には立たない。)

となると、どうすべきか。

「・・・すまない、春日。」

駆けだす幸村。

ゴールの位置は覚えている。
自分が辿って来た道を引き返せば、きっと道中のどこかにボールはある。

やる事がわかっているなら、自分が宝まで辿りつく。
一刻も早く。

きっと、ゲームを終わらせる方が向かうより早いと幸村は信じて、迷路を引き返し続けるのだった。