(厳しいですね・・・まさかこう来るとは思いませんでしたよ。)
「・・・はっ!」
柳生はボールを打ち続ける。
もうゴールは見えてる。
こっちのチームの板も、あっちのチームの板も、双方もうボロボロだ。
もう少し。
後少し。
そのもう少しが、力のそれ程強くない自分には遠い。
「なんじゃ、辛いか?」
かけられた声にはたと顔を上げると、仁王がにやりと笑いながら自分を見ていた。
そっちだって大概疲れてきてるだろうに、尚も煽ってくるその根性。逆に見上げる。
「・・・そうですね、正直堪えないと言えば嘘になってしまいますが。」
「降参するか?今すぐ休憩に入れるぜよ。」
「御冗談を。そちらこそ、ご休憩を取られては?」
「生憎じゃが、俺はまだ平気じゃ。」
嘘吐け、と喉まで出かかったが、止めた。
そうだった、此奴嘘は超得意なのだった。
「お前さんは堪えとるんじゃろ?」
「ええ。ですが、此処で退くともっと堪えがたい事が起こりかねませんので。」
それは何か?勿論負ける事である。
「・・・ふっ!」
一段と気合を入れて打つ柳生。
でも。
負けたくないのは仁王とても同じである。
(此処で負けたら、もう終いじゃ)
余裕ぶっているが、自分はもう3戦の内2敗している。
絶望の崖の縁に、踵がもうかかっているのだ。
此処でドン、と駄目押しされたらもう真っ逆さま。
敗北。さようなら。
そんな事許されるか。
「・・・幸村。」
仁王は打つのを一度止めて、幸村に近づいた。
「仁王?何だい?」
「頼みがある。これをな・・・・」
そう言って仁王がポケットから、第3ゲーム時に使われた跳ねないボールを取り出した。
それを見て、幸村はフッと笑う。
「良いよ。引き受けよう。」
「助かるナリ。」
本当に助かる。
自分の作戦を可能にする技量も、今のやり取りだけで全てを察してくれる頭の回転も。
後やる事はもうたった1つ。
出来れば相手より先、最低でも相手と同時に板を壊さねば。