「はあ・・・・」
紫希はもうそろそろ再度小休止に入ろうかと思い出していた。
でも、どうも後もう少しなのだ。
もうちょっと。もう少し。
(後3・・・いえ、5球だけ打ったら、もう一度休憩を・・・)
「・・・えい!」
又1球打つ。
さあ、次だと思い、紫希が辺りにボールはと周囲を見回した、丁度その時。
ミシ・・・・バキバキ!
どんなに聞きたかったろう、その音。
壁が壊れる音だ。
(やった・・・って、あ!)
こっちの壁が壊れ、見えた物。
机の上に置かれているボタン。
その更に向こうで、Bチームの壁も今正に破壊されたのが見える。
相討ち・・・・いや。
まずい。
「いけえええーーい!」
真っ先に突っ込んでいく紀伊梨。
対して、こっちで一番壁に近い所に居たのは千百合。
これはまずい。
純然たるスピードのみの話をするなら、千百合は紀伊梨に劣る。
間に合わない。
負けるのか。
こっちは負けるのか。
「・・・すまない、五十嵐。」
幸村の、嫌に静かな声が隣に居た紫希の耳に届いた。
かと思うと、幸村はサッとトスを上げ、紀伊梨の右手めがけて思い切り打った。
「あたーっ!」
「おい、止まるな!早く行かないと・・・」
バン!
と桑原の声を遮るように音が響いた。
千百合の右手が、机上のボタンを。
ゴールの証を抑えた音。
「しゅーりょー!勝者はAチーム!」
棗の声の陰で、紫希がラケットを取り落とす音が鳴る。
「・・・・・!」