「ニオニオ!ニオニオー!」
「なんじゃ、騒がしいのう。」
「なんじゃーじゃなくて!さっきのなーに!?ニオニオ、なっちんになったよね!?」
ニオニオ。
なっちんになったよね。
「・・・フッ。」
仁王は思わず笑ってしまった。
「よしよし、ええ子じゃき。」
「およ?褒められたやったー!・・・って、じゃなくてー!さっきのなーに、どーやってやったの、」
「よーしよーし。」
「よしよしじゃないのー!」
「成程。彼奴はこれをやりたかったわけだな。」
「柳、知っていたのか?」
「やりたいテニスがある、と零してはいた。具体的にどういう物なのかは分からなかったが、こういう事だと・・・春日。」
「はい・・・」
「心配しなくて良い、お前の目の所為じゃない。擦るのは良くない。」
「はい・・・」
「・・・何?」
「いや、俺に聞かれても・・・幸村。」
「うーん、つまり、仁王は最終的にああいうプレイヤーになりたいんじゃないかな。」
テニスが好き。
人を驚かすのも好き。
だからテニスで人を驚かせられるようになりたかった。
そういうテニスが出来れば良いのに、とずっと思って。
でも、考えれば考える程何かが足りないと思うようになった。
今のままじゃ駄目だ。
トレーニングの方法とか、パラメータとかそんなんじゃない。もっともっと、根っこの所を補完して変えなければいけないんだ。
そう思って、仁王は1人彷徨い続けていた。
そしてとうとう見つけた。
ダブルスパートナー。
柳生比呂士。
確かに、テニス部に入ってとは言った。
ダブルス組んでよと言い続けた。
何度も言葉を尽くして、手を変え品を変え勧誘してきたけれど。
でも、今。
今ほど雄弁に、仁王の意思が柳生に伝わった瞬間はあるまい。
・・・とはいえ。
「ふふふっ。」
「?」
「何笑ってんの?」
「ううん、何でもないよ。」
確かに伝わった。
しかし、良い結果に転ぶとは限らない。
(火が着いたようだね。)
どうする、仁王?
幸村は心中で尋ねて、又笑う。