無論、勝ってる。
相手の野田南中学校は、そろそろ利き腕が限界ですと悲鳴を上げ始めている。
(なんて打球の鋭さだ・・・1年生とは思えん。)
打球そのもののスピードとパワーもさる事ながら、恐ろしいのはその攻め方。
綺麗に抜いてくる。
裏をかいたりとか、そういう事をしてこない。
ただ只管、空いた所に、鋭すぎて取れないようなリターンを容赦なく突き刺してくるその攻撃。
辛い。
よもや1年生に対して、地力の差を感じる日が来るなんて。
「くっ・・・!」
しまった、と思ったが時すでに遅し。
ロブを上げてしまった。
スマッシュが来る。
慌てて下がる野田南の選手を、真田はジャンプして見下ろした。
(下がる姿勢。スマッシュが来ると分かっているのだな。)
でも、ここで意表を突いてドロップ。
とか、真田はやらない。
スマッシュを打つのに最適な球なんだ。
ならば、スマッシュが威力として一番強い。
読まれているけど、大丈夫。
決める。きっと決めてみせる。
入る筈だ。
渾身の威力。
渾身のスピードで。
「・・・はああああっ!」
ドカッ!という音がしたのと、試合終了のホイッスルが鳴ったのは同時。
「ゲームセット&マッチ!ウォンバイ真田!6-1!」
「よっしゃー!真田っちナイスー!」
「凄かったです、真田君!」
「やっぱ前よかやる気あるわね。」
「前はなw3戦が3戦ともああだったし、今回は満足だろうよw」
「ううん、試合運びが、最早上級生ね!これは逸材だわ。」
柳もそうだったが、1年生にしてこの仕上がりの良さは何なんだろう。
立海は強い強いと毎年言われている事ではあるけれど。
(今年はその中でも・・・何かが大きく違うのかもしれない。)
「お帰り、弦一郎。」
「充実した勝利だったな。」
「ああ。久しぶりに気を抜けない試合が出来た。」
「それは何よりだね。」
地区予選の時と同じ成り行きになったらどうしようか、なんて思っていたけれど。
でも兎に角、この試合はそんな事はなかった。良かった。こうじゃないと経験にならない。
「ところで、あの記者は又騒いでいなかったか?」
「騒いでいたよ。多分次も同じだろう。」
「どうやら全試合見て行くつもりのようだからな。」
「たるんどる!見るのは一向に構わんが、それならば真面目に見んか!」
見られている本人より、ビードロズ達の方が頼むから真面目に見てくれと思っている事を、幸村達は知らない。