「それではこれより最終試合!立海大附属対野田南、S1の試合を執り行います!」
「さあ!いよいよS1だわ!野田南は主将・・・まあ順当な所ね。」
「ゆっきー!頑張れー!」
「主将・・・ああ、緊張してきました・・・」
「まあ彼奴は負けんでしょうw」
「・・・・・・」
「あら?千百合ちゃん、声かけてあげないの?」
「ちょっと、今忙しいから黙って。」
言っちゃなんだが、小鳥遊に構ってる時間が今の千百合には無い。
見させろ。
「?なーに、急に?」
「た、小鳥遊さん・・・じゃなかった、ひたきさん!あの、お話は私達が聞きますんで、千百合ちゃんには見させてあげて下さい・・・」
「そーそー!千百合っちはゆっきーの試合が、いっちばん楽しみだかんね!」
「見逃したら幸村に悪いしなw」
此れの為に千百合は今此処に居ると言っても過言ではないのだ。
いや、友達のハレの舞台だけど。
でも本当に友達だけだったら、来てくれと頼まれでもしない限り見に来ない。会った時にどうなったの?と結果を聞くくらいのものだ。
幸村が居るから此処に居る。
(頑張れ、)
「プレイ!」
試合の開始。
「はあっ!」
「フッ!」
「くそ!」
「ハッ!」
最初からラリーの応酬が始まるS1。
先に仕掛けたのは野田南側。
「これなら・・・どうだ!」
(ドライブボレーが来るように見える・・・けれどあの位置は、)
幸村はサッとネット際に出た。
「・・・はっ!」
「何っ!?!?」
「ゲーム立海!2-0!」
「なっ!あの流れからのドロップショットを読んでたっていうの!?」
小鳥遊はシャッターをバシャバシャと派手に切りながら、驚嘆の声を上げた。
(絶対ドライブボレーが来ると思ったのに・・・今のは100人居たら、99人のプレイヤーがバックステップを踏む場面よ!?)
なのに幸村は迷わず前進した。
小鳥遊は反射的に、何やってるんだ、ドライブが来るから逆方向だぞ、と内心で思った。
でも違った。
幸村は正しかったのだ。
「おー!ひたきおねーちゃん、何かめっちゃ撮ってるー!」
「まそれだけ彼奴が凄いって事なんじゃないのw」
「もう2ゲーム取っていますものね・・・」
幸村は、今迄1ゲームも落とした事無い。
と言われている故に、「神の子」という二つ名を付けられている。
もし今回もそうなるならば、決勝戦以外は1セットマッチなので後4ゲームしかない。
もう中盤なのである、この時点で。
「・・・はっ!いけないいけない、夢中になってたわ!ねえ、ちょっと!」
「来たぞw」
「?来たぞとは何よ?じゃなくて、教えてよ幸村君の事を!彼は何者なの!?」
「ふっふーん!ゆっきーはねー、神の子なんだよ!」
「・・・神の子?」
小鳥遊はカメラから外さなかった顔を上げた。
瞬間。
「行け、精市、」
「えっ?」
「ゲーム立海!3-0!」
幸村のストローク・・・スマッシュとも呼べない、只のストロークが綺麗に相手の逆サイドに入った。
「ちょ、ちょっと待って!進行が早過ぎるわよ、もう3ゲームって!3年生を相手に!」
「ゆっきー、凄ーい!ねーねー、何か前見た時より強くなってるよねー!」
「はい。夏に向けて、練習も増えていましたから・・・成果が出ているんだと思います。」
「あれ以上どうやって強くなるんだよ・・・」
さしもの棗も、ちょっと引き攣り笑い気味。
このままあっという間に終わるかと思いきや、突如待ったの声がコートに響いた。
「タイム!野田南中学、タイムをお願いします!」