「ん、もう!千百合ちゃんったらつれないんだから~・・・ま、良いわ!続きを教えてよ、あの幸村君は学校ではどんな感じ?」
「ええと、優しい人ですよ。穏やかですし、人当たりが良いですし・・・」
「いっつもニコニコしてるもんねー!あ、あとお花好きだよ!後絵とか!」
「ほう!文武両道タイプで、しかも文化的にはそっち方向に行くのね。うーん、何て言うかしら。優雅?優雅な子ね、幸村精市君!しかし、あの物腰なのに彼からは、不思議とカリスマを感じるわ・・・」
「本当にちゃんとやればちゃんと出来るんすねw」
「む!どういう意味よ棗君、まるで私が普段ちゃんとしてないみたいに!」
「してねえじゃんw」
「失礼ねえ!もう良い!棗君には聞かない!ねえ紫希ちゃんに紀伊梨ちゃん、幸村君の好きなタイプは?どんな子?」
「あのね「あああ、紀伊梨ちゃん!そういう事は、」
「良いんじゃない、もうw」
「棗君!」
「どうせ幸村本人に突撃されたら終いだってw彼奴こういう嘘は吐かないからw」
「そうですけど・・・」
そうだけど、それはそれとして駄目じゃないんだろうか。
いやまあ、棗の言う事も当たっているから、早いか遅いかの違いだろって言われたらそうなんだけど。
「え?な、何よ前2人の時と違ってこの空気は・・・私何か悪い事聞いた?」
「んとねー、好きな人って言うか!彼女が!居ますお!」
「えええええっ!?」
小鳥遊の叫びも、今千百合の耳には入らない。
もう試合も終盤だ。
これから先の試合。もしずっとS1に据えられたら、もう幸村まで回って来ないかもしれない。
県大会の間は、幸村の試合はこれが最後かもしれないのだ。
よく分からん記者の叫びで気を散らしてる暇なんて無い。
(頑張れ・・・)
「フッ!」
「40-0!立海、マッチポイント!」
「はあ・・・」
野田南の主将は額から流れる汗を拭った。
なんて強さだ。
打っても打っても、必ず拾って、教科書の様なフォームで返してくる。
簡単そうに見えるが、その実決して簡単じゃない。
確かにテニスは、相手のコートに返してさえいれば決して負けないスポーツではあるけれど。
(それを可能にしているのは、あの身体能力!)
追いついてとか、予測してとか。
思うのは簡単だが、スポーツと言うのはなかなかどうして、体がイメージについて来ない。
だから皆苦労するのだが、幸村は。
(彼は違うんだわ・・・)
小鳥遊は又シャッターを切った。
(自分の体を、自分の思うように動かすだけのパラメータがある!この年で!)
「・・・末恐ろしいわね、全く。」
小鳥遊の呟きは、審判のホイッスルにかき消された。
「ゲームセット&マッチ!ウォンバイ幸村!6-0!よって一回戦は、立海大附属の勝利とします!」