「はあああああああ!?」
世にも珍しい棗の大声に、桑原どころかクラス全員がたじろいだ。
「な、なんだ・・・」
「マジかよ!1週間で紫希の友達!?」
「そんなに驚く事か?」
「驚く事だわ。男子だぞ、男子。それなのにあのキングオブ人見知りの紫希に、友達になってくれと言わせるとか・・・」
昼食が終わりチャイムの時間も迫って来て、クラスに帰って来た桑原は、棗が偶々1人で居たので何気なく声をかけたのだ。
そして会話の流れで丸井と紫希が友達になったーーー今度こそちゃんと友達になった経緯を伝えると、返ってきたのが上記の反応。
「マジか、うーわ・・・ブンブン君ってソムリエじゃなかったのか、ウィザードだったとは・・・」
「そもそもソムリエじゃない。後、両手のそれ止めてくれないか。落ち着かない。」
「ん?あ、ごめーん。つい癖で。」
棗は話している間、片手に1つずつミニサイズのルービックキューブを持ちガチャガチャと弄り回していた。
棗は何時も暇さえあればこんな小技を披露している。
「いや、しかしやるなー。1週間っつっても、実際会った事あるのは今日が3回目でしょ?新記録だな、多分誰も抜けないわ。」
「大袈裟じゃないか?」
「大袈裟なもんか。彼奴の友達認定にかかる期間って、男子は平均して2ヶ月だから。」
「にっ・・・」
「いや、彼奴に悪気は無いのよ?一応言っとくと。ただどうしても緊張が抜けないっていうかね。年々マシになってきてるから、その内普通になるだろうけど。・・・と。」
携帯が光った。
メール。
設定した通知のライトの色からするに、差出人は紀伊梨。
(一斉送信?)
こういう時の紀伊梨からのメールとなると、内容は大抵All or Nothing。
凄く良いことか、とても悪い事かのどちらかと相場が決まっている。
「・・・おおう。」
「どうした?」
「ライブが出来ないかもしれんw」
「は!?」
「ライブが出来ないかもしれんw」
綺麗に言い直す棗。
「お、おい。大丈夫なのか?」
「大丈夫なのかどうかも分からんw」
「おい・・・」
笑ってる場合かよと思う桑原。
しかし笑っている棗の頭は、既に回転を初めている。
(待て、学校側には通っただろ。という事は呼び出しの事も踏まえて生徒会からツッコミ入ったな。となると主に運営の話で、具体的に今のプランの何がどう無理なのかは柳が説明してくれるから、其処をどうやって通していくか・・・)
取り敢えず詳細を聞いてからになるが、問題はアイデアを出せる期間が限られている事だ。
メールに書いてある期限は、来週頭迄。
ディスカッションするとしても、4人では限界があるかもしれない。
「・・・良い機会、と思うべきか。」
呟くと、棗は携帯の通話画面を開いた。
「悪い桑原、ちょっと電話するわ。」
「いや、それは良いが・・・」
「ごめんな。お前とは又今度ゆっくり喋りたいと・・・あ、おーす。」
『ちょっと、あのメール何!?』
「そーそー、それそれw」
『笑ってる場合じゃないから。土日抜いたら後2日しかないのよ、』
「分かってるってwその事でちょっと相談なんだけどさ。」
『あ?』
「お前さ、前銀髪の方言にジュースやったって言ってたよね?」