「幸村、柳。頼みがある。」
昼食を終え、さてじゃあ提出用のオーダーをさっさと書きますかね・・・と待機所のテントの下の簡易テーブルを囲んでいた時。
真田は徐に言った。
「ほう。真田が頼みとは、珍しいな。」
「ふふっ!そうだね、これは是非に聞いてあげないと。」
「茶化すな。・・・して、その頼みの方なのだが。」
「うん。」
「俺をS3に入れてくれ。」
S3に入れてくれ。
通常幸村、真田、柳は3人でSを担当し、真田はS2に入るのが今大会の立海のデフォルトオーダー。
そこでS3に入れろと言うのは、これはつまり、試合させろという事である。
多分D2つで勝利して、S3で決着ついてしまうから。
そうすると、自分まで回ってこない。それは嫌だという事だ。
「あはは。やる気だね、弦一郎。ううん、どうしようかな?俺は構わないけれど・・・柳、どうだい?」
「俺も、特に異論はない。交代しよう。」
思っていても口に出して言うのはよろしくないから、幸村も柳も言わないが。
次の試合の対戦相手、東畑中学校は、多分まあ勝てる。
弱いとは言わないが、立海に比べると強いとも言えない。どこを取っても地力はこっちが上。
勿論今まで対戦してきた学校に比べれば平均的に強いから、誰かが大きく調子を崩せば、或いは1試合位は取られるかもしれない。
しれないけど、まあ、それがおそらく東畑側の限界だ。それすらも可能性の低い話だし。
だから、逆に言うと。
別に真田が戦いたがるような、選手も理由も何処にも居ない筈なのだが。
「すまん。恩に着る。」
「それは構わないが、真田。何故急にそんな事を?」
「それ程、試合がしたかったのかい?」
「いや、これはけじめだ。俺なりの詫びと言おうか、謝罪と言おうか。」
「「・・・?」」
何の話?
な顔で、幸村と柳は顔を見合わせるのだった。