学校のプールとそうじゃないプールって、おいおいどっちも学校のプールだろ訳が分かんねえぞ。
なんて思うのは庶民の考え、なのかもしれない。
「きゃー!あははははっ!」
「やだ冷たい、止めてよー!お返し!それ!」
「なー、ウォータースライダー行かねえ?」
「俺そんな高い所得意じゃねえんだって!」
「付き合い悪いなー、ほら行くぜ!」
「マジかよー!」
流れるプール。
噴水のあるプール。
温泉プール。
波のあるプール。
ウォータースライダーが6種類。
これらをぜーーんぶ内包する大型屋内プールがあるのは、どんな地図で確認しても、GoogleEarthで見てみても、氷帝学園の敷地内。
そう、此処は跡部の作った「学園所有の」娯楽用プール。
プールの開放して欲しいな!水泳部とかじゃないけど、夏は泳ぎたいな!
わかる!友達とばちゃばちゃしたいよね!
え!?どっちかというと、折角夏なんだしガチ泳ぎしたいんだけど!
という相反する2つの要望を聞いた王は思ったのだ。
じゃ、プール2つ作ろう。それで解決。
というわけで、学校なのに何故か娯楽用プールが出来た。
まあ。
可憐達は当分そっちに行く暇は無いわけだが。
「アッチに行きたいよーーー!遊びたい遊びたいよー!」
「はいはい、諦めて~。」
「文句言わない!そもそも、真美の為に私達皆こっちなんだからね!」
そう。勿論カナヅチの中学生が泳ぐ練習するのなら、娯楽用プールに居たって目覚ましい上達は望めない。
こっちは所謂「もう一つのプール」で、完全に練習用。
何本あるのかも分からないレーンを、只管に泳ぐ人。
走る人、ビート板や浮き具を使ってトレーニングする人。
・・・そして内川のように、そもそも泳げないから練習する人。
「さ、真美っ!早速練習だよっ!」
「ヤダよ~・・・」
「うふふっ!本当に苦手なのねえ、内川さん。」
「ごめんね網代さん、あんな奴で・・・・」
「ううん?全然気にしてないわよ?さて、先ずはどうしましょうか?」
「そもそも真美って潜れるの~?」
「それはデキる!」
すう・・・と息を吸って、止めて、内川は潜った。
「おお!出来るんじゃん。」
「うんうん、水に顔を漬けたりするのは怖くないのね?」
「そもそも真美って何かを怖いとかってあんまり思わないから~。」
「うん、怖いとは思ってないと思うなっ。ただただ、苦手なんだよねっ。」
「・・・・・・・・」
「普段の授業ではどんな感じかしら?」
「自由時間は元気よ、少なくとも。」
「ばちゃばちゃしてる時は普通に楽しそうなんだよね~。」
「泳いで進むのが苦手なんだよねっ!やっぱり息継ぎが難しいのかなあ?」
「・・・・・・・・」
「うーん、まあ。本格的な水泳じゃなくて、授業でやる程度が出来なくてっていう悩みは、大凡息継ぎに集約されるのよね。」
「まあ、他に悩むような所無いもんね~。」
「あと、平泳ぎなんかだと足が上手くいかないとかってあるよねっ。」
「あ、分かる分かる。あおり足って奴・・・ねえ。」
「え?」
「・・・真美が浮かんで来ない!真美!」
「ま、真美っ!」
「内川さん!」
「・・・~~~~~!」
網代の言っていた事は大当たりであった。
内川は壊滅的に息継ぎが出来ない。
だから吸って潜って、ある程度苦しくなってきたら止め続けないで吐けば良い。なんていう事すらも内川は分からず、ただただ止め続け、プールの底で足をバタバタさせ始めた。
「真美っ!ちょっと、しっかりしなさいよ!」
「プハ!ハアッ!ハアッ!助けて!死ぬ!溺れる!」
「真美、落ち着いてっ!水深100cmで中学生は普通溺れないよっ!」
「ううん・・・これは思ったより大変かもしれないわ。」
「す~ぐパニックになっちゃうんだよね~。ま、出来ない人ってそういうものかな~。」
「あっちは大変そうやなあ。」
「ん?ああ、桐生達!」
跡部の指示通り、氷帝テニス部は水中トレーニングを今日から始めている。
只管泳ぐことになるから勿論競泳用プールを使う事になり、忍足は向こうにわちゃわちゃやっている可憐達を見付けたのだった。
とはいえ、プールそのものは違う。
完全に足が着く水深均一の25mプールに可憐達は居るが、氷帝勢が練習しているのはターンなどがスムーズに出来るように、徐々に推水深の深くなる50mプールだ。
「あれは何やってるんやろ。」
「何か、桐生の友達が泳げないから手伝うとかって。」
「可憐ちゃんの友達?」
「そう。内川とか言う奴。」
「友達やんな?可憐ちゃんやあらへんねやんな?」
「俺もそこは確認取った、安心しろ!」
泳げない可憐とかもう事故の響きしかなくて本当に怖い。
文字通り付きっきりでないと安心できない。
「ま、あれだけ人数居るし網代も居るし?大丈夫だろ、多分。」
「まあ、それはそうやな。ここやったら足も着くし。」
逆に足が着くような所で、良くもまああれだけ騒げるものだと感心するが。
「おい!忍足、向日、次のレーンに入れ。50mだ。」
「はいな。」
「へいへい・・・」